中国市場「EVシフト加速」でBYDの売上高が4割増

電池材料の値上がりが利益圧迫のジレンマも

BYDはEVだけではなく車載電池の開発・製造も手がけている。写真は新開発のハイブリッド技術を搭載したPHVの「唐DM-i」(BYDのウェブサイトより)

EV(電気自動車)に代表される「新エネルギー車」の中国での販売急増を追い風に、EV大手の比亜迪(BYD)が売り上げを伸ばしている。同社が10月28日に発表した2021年1~9月期の決算報告によれば、同期の売上高は1451億9200万元(約2兆5772億円)と前年同期比38.25%増加した。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

ところが、1~9月期の純利益は24億4300万元(約434億円)と、前年同期より28.43%減少。BYDの決算報告書は減益の理由を説明していない。証券大手の中信証券の調査レポートは、(電池の製造に欠かせないリチウムなどの)原材料価格の値上がりと、昨年は新型コロナウイルス流行の特需に沸いた医療用マスクの販売減少が、減益の2大要因と分析する。

BYDは中国2位の車載電池メーカーでもあり、自社製の電池を自社のEVに搭載するだけでなく、外部の自動車メーカーにも販売している。注目すべきなのは、BYDが11月1日から電池の外販価格を引き上げたことだ。顧客に送られた通知書には、値上げの理由について「原材料価格の高騰が続いているため」と記されていた。

低燃費の新型PHVが突出した伸び

主力の自動車事業に目を移すと、1~9月期の総販売台数は前年同期比68.32%増の45万2700台。そのうちEVとPHVが前年同期の3倍の合計33万7600台に達し、全体の4分の3を占めた。対照的に、ガソリン車の販売台数は11万5200台と同27.13%減少した。

なかでも突出した伸びを見せたのがPHVだ。2021年1月に「DM-i」と呼ぶ新開発のハイブリッド技術を搭載した3車種を投入。優れた燃費性能が評判を呼び、受注が大幅に増加した。その結果、1~9月のPHVの販売台数は前年同期の5.7倍の14万5700台に上った。

本記事は「財新」の提供記事です

BYDは海外市場の開拓にも力を注いでいる。従来はEVバスなどの商用車の輸出が中心だったが、2021年5月、EV乗用車を欧州のノルウェーで発売すると発表した。同社によれば、2021年9月末までにSUVタイプの高級EV「唐(タン)」をノルウェー向けに1000台出荷しており、年末までに1500台の出荷を目指している。

(財新記者:黄栄)
※原文の配信は10月29日

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