中国国内の植毛業界でトップ企業である雍禾医療集団(ヨンホ―)は6月17日、香港証券取引所に上場を申請した。実現すると、中国の植毛業界では初のIPO(新規株式公開)となる。雍禾の主力サービスは植毛手術で、売上高の9割近くを占める。また医療の知見を活かした、育毛サービスも展開している。
雍禾医療集団は現在、中国国内50都市で51のクリニックを経営し、医師229人と看護師930人からなる医療チームを擁している。
IPOの目論見書によれば、売上高は2018年の9億3400万元(約160億円)から2020年には16億4000万元(約281億4000万円)と2年で約1.8倍に増加した。また2020年の粗利益率は74.6%に達し、純利益は1億6300万元(約28億円)だった。
6人に1人は抜け毛の症状がある
中国国家衛星健康委員会が2019年に公表したデータによると、同年に中国の「抜け毛人口」が2億5000万人を超え、平均で6人に1人は抜け毛の症状があると発表した。
抜け毛に悩む人の多くは育毛剤や抜け毛防止効果があるシャンプーなどを使用しているが、それ以外で、見た目に関して最も顕著な効果がある手段が植毛手術だ。外科手術の一種であり、髪が生えている後頭部の毛包(毛根を包む皮膚組織)を採取し、毛髪が少ない部分に移植する。
中国では「90後(ジョウリンホウ)」と呼ばれる1990年代生まれの世代が、抜け毛人口に加わりつつある。90後は年上の世代と比較して、外見をより重視し、消費意欲も旺盛だ。ここにきて植毛業界は一気に活気づいている。アメリカの調査会社のフロスト&サリバンの推計によると、中国の医療植毛の市場規模は2020年に134億元(約2300億円)に達した。さらに今後、市場は年平均18.9%のペースで拡大を続け、2030年には756億元(約1兆3000億円)に達すると予測している。
(財新駐香港記者:文思敏)
※原文の配信は6月18日
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