中国のEV(電気自動車)向け充電装置大手の「特来電新能源」は、第三者割当増資による資金調達を行う。シンガポールの投資会社のGLP、中国の国有電力大手の国家電力投資集団、中国長江三峡集団などがこれを引き受ける。6月20日に、特来電の親会社で変電設備メーカーの青島特鋭徳電気が投資家向けの公告で明らかにした。
特来電新能源は1株当たり14.6元(約249円)で新株を発行し、合計約3億元(約51億円)を調達する。増資後の時価総額は136億元(約2322億円)に達する計算だ。なお青島特鋭徳電気が保有する特来電新能源の持ち株比率は79.37%から、増資後には77.68%に減少する。
業界団体の中国EV充電インフラ促進連盟によると、2021年5月末時点で、特来電新能源は21万9000基のEV向け充電装置を運営し、この分野で首位に立つ。2位は国有送電最大手の国家電網(19万6000基)、3位はスタートアップ企業の星星充電(19万3000基)が名を連ねる。
EV向け充電装置は新興産業だが、中国の新エネルギー自動車の販売増を受け、需要拡大への期待が高まっている(訳注:新エネルギー自動車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)。
新型インフラ建設の対象プロジェクトに
中国国務院弁公庁が2020年10月に発表した「新エネルギー自動車産業発展計画」では、2025年までに新エネルギー自動車の販売台数を全新車販売台数の2割まで拡大し、2035年までに電気自動車(EV)を新車販売の主流とする、との目標を定めている。
2021年3月の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で李克強首相が行った「政府活動報告」には、EV向け充電装置の設置を奨励することが明記された。これにより、EV向け充電装置は、中国政府が次世代インフラに集中投資する「新型インフラ建設」の対象プロジェクトに組み入れられた。
将来の市場拡大への期待と優遇政策の後押しにより、EV向け充電装置業界には追い風が吹いている。中国EV充電インフラ促進連盟の秘書長を務める許艶華氏は、2021年5月末時点で88万4000基ある中国のEV向け充電装置が、2030年には約300万基まで拡大すると予測する。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月21日
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