中国の不動産業界が資金繰りの悪化に苦しむなか、上場大手の決算開示の遅延が相次いでいる。財新記者の調べによれば、2022年3月23日までに中国恒大集団(エバーグランデ)、融創中国控股(サナック)、世茂集団(シーマオ)、融信中国控股(ロンシャイン)、新力控股集団(シニック)などが、2021年の通期決算の開示を延期すると発表した。
理由としては、複数の企業が「新型コロナウイルス流行の影響」を挙げている。例えば融創中国は、新型コロナの局地的流行が中国各地で相次いでいるため、同社が営業拠点を置く都市で郵便物の配送が滞り、(決算書の作成に不可欠な)文書のやりとりが遅れていると釈明した。
さらに同社は、中国各地の社員が新型コロナの防疫対策に基づく自宅隔離やオフィス封鎖などに巻き込まれ、一部の支店などで(必要書類への)押印が困難になったと説明。帳簿の記載に関する取引先や金融機関への確認作業など、現場レベルでの監査事務にも遅れが生じているという。
「新型コロナの影響」と釈明するが…
世茂集団と融信中国は、新型コロナの影響で(監査法人による)会計監査のプロセスが滞ったと釈明。両社では経営陣(の一部)が隔離されたために、監査済みの決算報告書を期日どおりに開示できなくなったとした。
新型コロナ以外の理由を挙げた不動産会社もある。例えば恒大集団は、2021年後半以降の経営状況に重大な変化が生じ、「会計監査のプロセスで必要なチェック項目が大幅に増えた」と説明した。
だが、決算開示の延期を発表した不動産会社は、いずれも深刻な資金繰りの悪化が表面化した企業ばかりだ。ある大手会計事務所の関係者は、実態を次のように分析する。
「上場企業の決算開示時期はかなり前から決められている。その期日を守れないのは、会社側と監査法人の間で、会計監査の結果について意見が折り合わない状況である可能性が高い」
別の証券アナリストは、内情をこう推察する。
「不動産会社のデフォルト(債務不履行)のリスクが高まるなか、監査法人の会計士は平時に増して慎重にならざるをえない。決算開示を延期した企業の帳簿には数字が合わない項目があり、会計士が(監査報告書への)サインを拒んでいるのではないか」
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は3月23日
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