中国プロサッカーリーグのクラブチームで所属選手に対する賃金の未払いが相次いでいることが、(経営母体の資金繰り悪化を懸念する)市場関係者の関心を呼んでいる。
「私の賃金とボーナスをいつ支払ってくれるのか?」。男子サッカーの中国代表チームのキャプテンを務める蒿俊閔選手は2月16日、ミニブログの微博(ウェイボー)にそう書き込み、自身が所属する武漢サッカークラブの経営陣に対する不満をあらわにした。蒿選手によれば、クラブ側は未払いの賃金を2021年末までに支払うと約束していたが、春節(中国の旧正月、今年の元日は2月1日)を過ぎても支払われていないという。
すると武漢サッカークラブの複数の選手たちが蒿選手の書き込みをシェアし、「自分も賃金を受け取っていない」と声を上げた。そのうちの1人の田依濃選手は、「私はずっとクラブを信じてきたが、前言を翻されてばかりだ。賃金とボーナスをちゃんと支払ってもらいたい」と訴えた。
武漢サッカークラブの運営会社は、湖北省武漢市に本社を置く卓爾控股の傘下にある。同社は貿易、物流、サプライチェーン・マネジメント、製造、イベント、観光などさまざまな事業を手がけ、複数の子会社が株式を上場している大手企業だ。
スポンサーの7割が不動産関連企業
しかし注目すべきなのは、武漢サッカークラブの運営会社が資産の強制差し押さえの対象に指定されていることだ。法人登記情報によれば、差し押さえの金額は61万200元(約1108万円)。この事実は、運営会社(および親会社)が資金繰りに行き詰まり、取引先との間に紛争を抱えていることを示唆する。
武漢サッカークラブだけではない。過去1年、プロサッカーの「超級(1部)リーグ」と「甲級(2部)リーグ」に属する多数のクラブチームが、資金難から選手に賃金を支払えない窮状に陥った。広州サッカークラブ、河北サッカークラブ、重慶两江競技サッカークラブなどのように、事実上の運営停止に追い込まれたチームもある。
超級リーグの華北ブロックに属するあるクラブチームの責任者は、財新記者の取材に応じ、一連の問題の背景を次のように解説した。
「中国プロサッカーは超級リーグも甲級リーグも、チームのスポンサーの約7割が不動産関連企業だ。最近の不動産不況の影響で資金繰りが苦しくなるなか、スポンサーはクラブに対する投資意欲を失った。この現実が、チームの存続を困難にしている」
(財新記者:関聡)
※原文の配信は2月18日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら