中国政府は2月18日、国家発展改革委員会、財政省、交通運輸省、商務省、国家市場監督管理総局など14省庁の連名で通達を出し、(新型コロナウイルスの局地的流行の影響などで)苦しい経営を迫られているサービス事業者に対する政策的支援を打ち出した。
対象は飲食業、小売業、航空業、旅行業などだが、通達のなかの飲食業に関する一節が市場関係者の注目を呼んだ。ネット出前サービスのプラットフォームを提供する大手ネット企業に対し、加盟店から徴収する手数料を引き下げ、飲食業のコスト負担の軽減に協力するよう勧告したからだ。
この勧告は、ネット出前サービス最大手の美団(メイトゥアン)の株価を直撃した。香港証券取引所に上場する同社株の2月18日の終値は188香港ドル(約2775円)に沈み、前日比の下げ幅は14.86%に達した。
財新記者は美団に対して、今回の勧告をどう受け止めているか、手数料を引き下げる用意があるかなどについてコメントを求めた。しかし同社から回答は得られなかった。
なお、美団のサービスに加盟する複数の飲食店に財新記者が取材したところ、現時点の手数料は(料理の注文だけでなく)配達を含めて美団のプラットフォームを利用した場合、注文金額の20%前後に上る。
業績への深刻な影響避けられず
美団はネット出前のほかにも、旅行予約や地域コミュニティ向け共同購買サービスなど様々な生活関連サービスを手がける。だが、ネット出前は総売上高の半分以上を稼ぎ、収支も黒字化している基幹事業だ。
2021年7~9月期の決算報告書によれば、同四半期のネット出前事業の売上高は265億元(約4812億円)。その内訳を見ると、飲食店から徴収する手数料収入が232億2000万元(約4217億円)と全体の80%近くを占める。
しかし、ネット出前事業の営業利益は8億7600万元(約159億円)、営業利益率は3.3%と決して高い水準とは言えない。政府の勧告に応じて手数料を引き下げれば、業績への深刻な影響が避けられないのは明らかだ。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は2月18日
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