アリババ系「ネット銀行」にコンプラ違反で罰金 網商銀行、本人確認や取引記録などに不備多数

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アリババ系の網商銀行は、中国で最初に開業が認可された民営ネット銀行の1つだ(写真は同行のウェブサイトより)

中国の民営ネット専業銀行の網商銀行が、金融管理当局の検査で多岐にわたるコンプライアンス違反を指摘され、2236万5000元(約4億467万円)の罰金を科されたことがわかった。中国人民銀行(中国の中央銀行)の杭州中央支店が公表した1月30日付の行政処分の決定書によれば、(法人としての)網商銀行に対する上記の罰金のほか、違反に関与した9人の責任者に対しても合計49万元(約887万円)の罰金支払いが命じられた。

決定書によれば、具体的な違反行為として(融資先の)信用調査にかかわる規定違反、本人確認義務違反、本人確認書類および取引記録の保管不備、疑わしい取引の報告義務違反、本人確認ができていない顧客との取引実施などが指摘されている。

網商銀行は中国で最初に認可された民営ネット銀行の1つで、2015年6月に開業した。同行の発行済株式の30%を保有する筆頭株主は、電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)の傘下にあるフィンテック大手、螞蟻集団(アント・グループ)である。

民営ネット銀行の検査・処分を当局が強化

金融管理当局が網商銀行を処罰するのは、今回が3度目だ。1度目は2020年1月20日、同行に銀行間決済の規定違反および中央銀行預け金の管理に関する規定違反があったとして、中国人民銀行杭州中央支店が159万1800元(約2880万円)の罰金を科した。

2度目はその直後の2020年1月23日、網商銀行に多数のコンプライアンス違反があったとして、中国銀行保険監督管理委員会浙江分局が95万元(約1719万円)の罰金を科した。この時は具体的な違反行為として、董事会(取締役会に相当)の承認を経ずにグループ内での重大な関連取引が行われていたことや、一部の従業員が(当局に)提出した資料や陳述書に虚偽があったことなどが指摘された。

本記事は「財新」の提供記事です

網商銀行だけではない。金融管理当局はここ数年、大手ネット企業をバックに持つ民営ネット銀行に対する検査・処分を強化している。

例えば、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)などが設立した民営ネット専業銀行の前海微衆銀行も、2019年8月に多数のコンプライアンス違反を指摘され、200万元(約3619万円)の罰金および29万1000元(約527万円)の不当利益没収の行政処分を受けた。

(財新記者:劉冉)
※原文の配信は2月7日

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