ショート動画アプリTikTok(ティックトック)の運営企業として知られる中国のアプリ開発大手の字節跳動科技(バイトダンス)が、社内の投資部門を1月18日に解散したことがわかった。財新記者の取材に応じた複数の同社関係者や投資業界関係者が事実を認めた。
関係者によれば、戦略投資部の責任者を務めていた趙鵬遠氏を含む5人が総裁弁公室(社長室に相当)に異動となり、バイトダンスの全社的な企業戦略を担当することになった。また、戦略投資部のメンバーの一部は各事業部門の戦略企画担当に配置転換された。一方、財務・投資系のメンバーはほとんどが解雇されたという。
「年初に実施した各事業の棚卸しと精査により、(経営陣が)事業の選択と集中の強化を決めた。(既存事業との)相乗効果が低い投資を減らすとともに、戦略系の人材を各事業部門に分散して配属することで、戦略企画機能と事業運営の連携を強化したい」。財新記者の取材に対し、バイトダンスの担当者はそう回答した。
テンセントやアリババが追従との見方も
同社が投資部門の解散を決断したのは、ある投資案件の中止がきっかけと見られている。バイトダンスは最近まで、アメリカのビジネス向けSNS(交流サイト)であるリンクトインの出身者が創業したデータ分析サービス会社、易数科技(グロウイングIO)への投資計画を進めていた。
「もともとは(過半出資による)買収を予定していたが、後から一部出資に変更された。そして昨日(1月18日)、計画がまるごと中止になってしまった」。同社に近いある関係者は、そう打ち明けた。
バイトダンスだけではない。ネットサービス大手の騰訊(テンセント)でも、投資事業を見直す動きがある。同社の投資部門の関係者によれば、今後の重点投資分野について、主力事業の関連分野と政府の奨励分野の2つに絞り込む方針がすでに示されたという。
なお、投資業界のファンドマネジャーの多くにとって、バイトダンスの投資部門解散は大きな驚きではなかったようだ。中国政府が独占禁止法などの運用を強化し、大手ネット企業への締め付けを強めているのは明白だからだ。
「ネット関連企業の株価はすでに(ピークから)大幅に下落した。今後はバイトダンスと同様の(投資部門を廃止・縮小する)動きが、テンセントや阿里巴巴(アリババ)からも出てくるだろう」。あるファンドマネジャーはそう予想する。
(財新記者:劉冉、関聡)
※原文の配信は1月19日
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