中国の不動産業界の資金繰り悪化が止まらない。市場調査会社の克爾瑞が3月7日に発表したレポートによれば、主要な不動産会社100社の2022年2月の(銀行借り入れや債券発行などによる)資金調達総額は前年同月比58.8%減の398億1700万元(約7251億8700万円)に落ち込み、2018年以降の最低記録を更新した。
不動産会社の資金繰り難は、企業規模にかかわらず業界全体に広がっている。克爾瑞の別のレポートによれば、上位10社の不動産大手による2022年1~2月の資金調達額は1社当たり平均51億7700万元(約942億8800万円)と、前年同期より45.44%減少した。それ以外の不動産会社の資金調達額は、おしなべて前年同期の半分以下に縮小している。
そんななか、中国各地の地方政府は地元の不動産業界の苦況を憂慮し、対応に動いている。例えば河南省房地産協会(不動産会社の業界団体)は3月2日、「河南省政府の所管部門の委託を受け、不動産デベロッパーが必要としている資金調達額を取りまとめる」という内容の通知を出し、会員各社に回答を求めた。その狙いは、地元不動産会社と金融機関の関係を省政府が取り持つことにある。
外国人投資家がリスク判断見直し
しかし金融機関側は、不動産業界への新規融資に依然及び腰だ。「民営不動産会社への貸し出しは、今はしたくない。融資リスクの管理が難しすぎるからだ。見た目(の財務状況)が健全な企業でも、どこに地雷が隠れているかわからない」。ある銀行の関係者は、そう本音を打ち明ける。
それでも、中国国内の資金調達環境はまだましなほうだ。海外の状況はさらに厳しい。前出の克爾瑞のレポートによれば、主要不動産会社が債券市場での起債を通じて2月に調達した資金の額は、国内では前年同月比29.7%減だったの対し、海外では同68.9%も減少した。
「外国の機関投資家が最も憂慮しているのは、中国の不動産会社の経営実態が不透明なことだ。簿外債務がいったいどれだけあるのか、開示情報だけでは判断のしようがなく、債務返済能力を評価できない」
財新記者の取材に応じたある投資家はそう指摘し、さらにこう続けた。
「中国の不動産会社の一部は国内と海外の債権者を公平に扱わず、(海外で発行した)ドル建て債券を先にデフォルトさせている。このような実態では、外国人投資家はリスク判断を見直さざるをえない」
(財新記者:王婧)
※原文の配信は3月8日
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