住宅価格の年収倍率、「香港」が12年連続で世界一 第2位のシドニー、第3位のバンクーバーに大差

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香港市民の住宅購入負担は世界の主要都市のなかでも突出して重い(写真はイメージ)

世界の主要都市の住宅購入難易度ランキングで、香港が12年連続で首位になったことがわかった。アメリカの調査会社デモグラフィアが発表した2022年版の年次レポートによれば、香港の「住宅負担比率」は23.2を記録。香港の平均的な家庭が自宅を購入するには、23年以上も飲まず食わずで稼ぎ続けなければならないことを意味している。

ここでの住宅負担比率とは、調査対象都市の住宅価格の中央値を世帯収入の中央値で割った数値だ。デモグラフィアは2021年第3四半期(7~9月)の住宅価格と世帯収入をもとに、世界8カ国・地域の92都市を比較した。

香港の住宅負担比率をほかの主要都市と比較すると、香港市民の住宅購入負担の突出した重さが浮かび上がる。ランキングの第2位はオーストラリアのシドニーで、住宅負担比率は15.3。第3位はカナダのバンクーバーで、住宅負担率は13.3だった。香港と並んでアジアを代表する国際都市のシンガポールも、住宅負担比率は5.8にとどまっている。

不動産市況はコロナ「第5波」で悪化

それだけではない。香港の2021年の住宅負担比率は、新型コロナウイルスの世界的大流行が始まる前の2019年と比べて2.4ポイント上昇した。その理由は(住宅価格の値上がりではなく)世帯収入の減少だ。香港政府の統計局のデータによれば、香港の月間世帯収入の中央値は2020年は2万7000香港ドル(約39万8千円)と、2019年の2万8700香港ドル(約42万3千円)から約6%減少した。

もっとも、ここに来て香港の住宅価格は下落に転じつつある。2022年2月に始まった新型コロナ流行の「第5波」で感染者が激増したことや、株式市場の低迷が要因だ。香港政府が公表した最新データによれば、2022年1月の住宅販売価格指数は388.9と、前月より4.5ポイント下落した。

本記事は「財新」の提供記事です

不動産市況の悪化は、香港市民が購入した住宅の時価評価額が住宅ローンの残債額を割り込むケースの増加からも見て取れる。香港政府の金融管理当局のデータによれば、2021年12月末時点の評価額が残債額を下回るローンの残高は1億2600万香港ドル(約19億円)と、2021年9月末時点の900万香港ドル(約1億3千万円)から大幅に増加している。

(財新 駐シンガポール記者:楊敏)
※原文の配信は3月9日

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