中国に忍び寄る「スタグフレーション」の足音 「財新中国製造業PMI」、3月はコロナ後の最低値

✎ 1〜 ✎ 854 ✎ 855 ✎ 856 ✎ 最新
拡大
縮小
3月の財新中国製造業PMIは前月より2.3ポイント低下し、2020年初め以降の最低値を記録した(図表作成:財新)

中国では新型コロナウイルスの局地的流行が全国的に急増し、製造業のビジネスに大きな影響を与えている。4月1日に発表された3月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は48.1と、前月(50.4)より2.3ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50を割り込み、中国国内で新型コロナが大流行した2020年初め以降の最低値を記録した。

製造業の3月の事業活動は、供給側と需要側の双方に急ブレーキがかかった。(供給側の指標である)生産指数と(需要側の指標である)新規受注指数は、そろって2020年3月以降の最低値に落ち込んだ。

供給側では一層強化された新型コロナの防疫対策の影響を受け、サプライチェーンが混乱。製造業は安定した生産が困難になっている。需要側では(個人の消費意欲の後退を受けて)消費財の需要減速が目立った。

雇用は安定もインフレが悪化

景況感の悪化にもかかわらず、製造業の雇用は比較的安定している。3月の雇用指数は、前月までの7カ月連続の縮小基調から拡大基調に転じた。だが、調査対象企業の一部からは「新型コロナの影響で新規採用を見合わせている」との声も聞かれ、先行きは予断を許さない。

新型コロナと並んで中国の製造業を悩ませているのが、ウクライナ危機をきっかけに生じたエネルギーや金属などの国際相場の急騰だ。(仕入れ価格の指標である)購買価格指数と(販売価格の指標である)工場出荷価格指数は、3月はそろって5カ月ぶりの高水準に上昇、インフレ圧力の高まりを示した。

本記事は「財新」の提供記事です

「中国はいま、新型コロナの流行が2020年初め以降で最も厳しい状況にあるなかで、ウクライナ危機など海外発の不確実性にも直面している。経済に強い下押し圧力がかかり、スタグフレーションに陥るリスクが高まっている」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そう警鐘を鳴らした。

(財新記者:程思煒)
※原文の配信は4月1日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT