中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は2月24日、2021年10~12月期の決算を発表した。同四半期の売上高は前年同期比10%増の2425億8000万元(約4兆4111億円)と、2014年の上場以降で最も低い伸び率にとどまった。また、純利益は192億2400万元(約3496億円)と、前年同期比75%の大幅減益を記録した。
ほとんどの市場関係者にとって、アリババの成長鈍化は決算が開示される前から織り込み済みだった。アナリストが事前に予想した10~12月期の売上高の平均値は2454億7000万元(約4兆4637億円)。だが、実績はそれを下回る結果になった。
ユーザー数の変化に目を向けると、2021年12月末時点の年間アクティブユーザー数は12億8000万人と、同年9月末時点より4300万人増加した。そのうち、中国国内のユーザー数は2600万人増えて9億7900万人、海外ユーザー数は1600万人増えて3億100万人となった。
「中国国内で一定の購買力を持つユーザー層はほとんど取り込んだ。今後は新規ユーザーの獲得より、既存ユーザーの引き留めに重点を移す」。アリババCEO(最高経営責任者)の張勇氏は、決算説明会でそう述べた。
新たな成長分野は海外EC事業
10~12月期の業績が明らかになると、アメリカのニューヨーク証券取引所に上場するアリババのADS(アメリカ預託株式)の取引は2月24日の寄り付きから急落。その後は値を戻し、終値は前日の0.7%安の108.93ドル(約1万2530円)で引けた。アリババADSの直近の最高値は2020年10月27日につけた319.32ドル(約3万6730円)であり、1年4カ月で時価総額の3分の2を失った勘定だ。
アリババの成長鈍化は、すでに2021年7~9月期から鮮明になっており、張CEOはその要因として「マクロ的な経営環境の悪化」「消費者の購買意欲の低下」「他社との競争激化」などを挙げていた。この状況は10~12月期も変わっていない。
一方、純利益の大幅減についてアリババは、低価格商品に特化したECアプリ「淘宝(タオバオ)特価版」、地域コミュニティー向けのオンライン共同購買サービス「淘菜菜(タオツァイツァイ)」、ネット出前サービス「餓了麽(ウーラマ)」などの事業がまだ先行投資期にあり、損失がかさんだためと説明した。
そんななか、アリババが新たな成長分野として期待するのが海外のEC事業だ。東南アジアの「ラザダ」、トルコの「トレンドヨル」、パキスタンの「ダラズ」、グローバル市場向けの「全球速売通(アリ・エクスプレス)」などを含む海外事業の受注額は、10~12月期は前年同期比25%増加。なかでもラザダの伸び率は52%、トレンドヨルは49%に達した。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は2月25日
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