ショート動画アプリTikTok(ティックトック)の運営企業として知られる中国のアプリ開発大手の字節跳動科技(バイトダンス)が、証券関連事業から完全撤退することが明らかになった。
中堅証券会社の華林証券は2月21日、バイトダンスの100%子会社である字跳網絡技術から証券投資アプリ「海豚股票」の運営会社を2000万元(約3億6336万円)で買収すると発表した。
この日、財新記者の取材に応じたバイトダンスの関係者は、同社が証券関連事業から完全撤退を決めたことや、海豚股票以外の証券関連事業についても他社への売却交渉や事業廃止のプロセスを進めていることを認めた。
ネット企業にとって、金融事業への進出はトラフィック(データ通信の流れ)を収益に変える有力な手段のひとつだ。バイトダンスは2015年から金融事業への参入を模索し、2017年に海豚股票の前身の「鈉鎂股票」をリリースした。中国の本土市場株およびアメリカ株の情報を提供するアプリだったが、さしたる人気は得られなかった。
証券仲介業の免許を取得できず
そこでバイトダンスは、2019年に「鈉鎂股票」を「海豚股票」に改称するとともに、アプリ上で証券口座の開設や株式のリアルタイム取引ができる機能を追加した。
しかし証券仲介業の免許を(中国の金融監督当局から)取得できず、アプリ運営はグレーな状態になっていた。そのため2020年4月には、海豚股票があくまで提携先の証券会社から提供された市場情報や取引機能へのリンクを取り扱う「プラットフォーム」であることや、バイトダンス自身は口座開設や取引仲介などの(免許必須の)業務に一切タッチしていないことなどを、わざわざ対外的に釈明した経緯がある。
今回の証券関連事業からの撤退を機に、バイトダンスは金融事業戦略の方向性を見直す。
「今後は自社アプリのユーザーの利便性を高める金融サービスを中心に提供していく。例えば『抖音(ドウイン、TikTokの中国版)』上のライブコマースでユーザーが買い物をする場合、決済手段に『抖音支付(ドウイン・ペイ)』を選択すれば、商品を返品する場合の送料を保障する保険サービスを利用できる」。バイトダンスの関係者はそう説明した。
(財新記者:王娟娟、劉冉)
※原文の配信は2月21日
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