中国の製造業の景況感が一進一退を続けている。2022年3月1日に発表された2月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.4と、前月(49.1)より1.3ポイント上昇。好不況の判断の目安とされる50を再び上回ったものの、依然として長期平均値に届かない水準にある。
製造業の2月の事業活動は、供給側と需要側の双方で穏やかな拡大基調に転じた。相対的には需要側の回復が目立ち、(需要側の指標である)新規受注指数は8カ月ぶりの高水準を記録。多数の調査対象企業が「需要の改善が生産の増加を牽引している」と回答した。
ただし、外需に関しては改善の兆しがまだ見えない。海外では新型コロナウイルスの流行が長引き、(コンテナ輸送など)国際物流の逼迫も続いているためだ。2月の新規輸出受注指数は前月比では幾分上昇したものの、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを7カ月連続で下回った。
「三重苦」に直面する中国経済
そんななか、企業経営者は新規雇用の拡大に引き続き慎重だ。製造業の2月の雇用指数は前月比では改善したが、7カ月連続の縮小基調となった。調査対象企業からは「自己都合退職した従業員の補充を止めているため、雇用者数が減少した」との声が多く聞かれた。
経営者の先行き不安を高めているのが、インフレの再燃だ。(仕入れ価格の指標である)購買価格指数と(販売価格の指標である)工場出荷価格指数は、2月はそろって大きく上昇し、2021年11月以来の高水準に達した。調査対象企業によれば、インフレ悪化の主因は原材料価格の高止まりと物流費の高騰だ。
「製造業の景況感は2月に幾分持ち直したが、雇用情勢は引き続き弱く、インフレ圧力も緩和されていない。中国経済は『需要低迷、供給の不安定化、先行き不安』という三重苦に直面しており、景気回復の足元は盤石ではない」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は3月1日
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