中国では、広大な国土に偏在する資源の産地と消費地をつなぐため、国家主導のさまざまな大規模プロジェクトが実施されている。南部地域の豊富な水を北部地域に送る「南水北調」、西部地域で産出される天然ガスを東部地域に輸送する「西気東輸」、西部地域の山間部の水力発電所から東部地域に送電する「西電東送」などが代表例だ。
ここに新たな大規模プロジェクトが加わった。東部地域のデジタルデータを西部地域で演算処理する「東数西算」がそれだ。
中国のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会は2月17日、東数西算プロジェクトに関するQ&A形式の説明資料を発表。国家発展改革委員会、国家インターネット情報弁公室、工業情報化省、国家能源局の4省庁が全国8カ所にデータ演算処理の中枢拠点を建設することに合意し、連名の通達を(関連業界に対して)発したことを明らかにした。
「現時点では、わが国のデータセンターは東部地域に集中し、土地やエネルギーなどのリソースが逼迫している。一方、西部地域はリソースに余裕があり、なかでも(水力、風力、太陽光などの)再生可能エネルギーが豊富だ。西部地域でデータセンターを発展させ、東部地域のデータ処理需要に応える条件は整っている」。国家発展改革委員会のハイテク技術局は、東数西算の狙いをそう説明している。
西部地域のデータ産業発展を支援
とはいえ現実には、東部地域のデータをすべて西部地域で処理するのは無理がある。データの長距離伝送には、どうしてもタイムラグが伴うからだ。このためハイテク技術局は、タイムラグを許容できない高度な演算業務については東部地域に建設する中枢拠点が担い、(タイムラグの影響を受けない)バックグラウンド処理やデータのバックアップなどの業務を優先して西部の中枢拠点に移す運用を想定している。
なお、前出の4省庁はすでに2021年5月の段階で東数西算プロジェクトの基本コンセプトを発表していた。国家発展改革委員会によれば、今回の通達はプロジェクトの正式かつ全面的な始動を意味している。
次のステップでは、政府主導で地域間のデータ通信網の接続を強化し、まず東数西算のモデルになるルートを整備する。さらに、西部地域に建設する中枢拠点の周辺地区で、データ加工、データクレンジング(訳注:データの誤りや重複などを修正・整理して品質を高めること)、コンテンツサービスなどの産業発展を支援していく計画だ。
(財新記者:張爾弛)
※原文の配信は2月18日
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