中国サービス企業で「先行き不安」が高まる背景 「財新サービス業PMI」、1月は1.7ポイント低下

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2022年1月のサービス業PMIは前月より1.7ポイント低下し、2021年9月以降の最低値を記録した(図表作成:財新)

中国のサービス業の景況感悪化が鮮明になってきた。2月7日に発表された2022年1月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は51.4と、前月(53.1)より1.7ポイント低下。好不況の目安とされる50はまだ上回っているものの、2021年9月以降の最低値を記録した。

前週の1月30日に発表された1月の財新中国製造業PMIは49.1と、前月(50.9)より1.8ポイント低下して目安の50を割り込んだ。製造業とサービス業の景況感が同時に悪化している状況だ。調査対象企業からは「(中国国内で)新型コロナウイルスの局地的流行が反復し、それに伴う防疫措置の強化で事業活動が制約を受けている」との声が多数寄せられた。

サービス業の需要動向を示す新規受注指数は、1月は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを5カ月連続で上回ったものの、前月比では1ポイント以上低下した。外需の状況はさらに厳しい。海外でオミクロン変異株の感染が急拡大している影響を受け、サービス輸出の新規受注指数は3カ月ぶりにボーダーラインを割り込んだ。

コストアップの価格転嫁が難しく

景況感の悪化とともに、企業は新規雇用に慎重になり始めている。サービス業の1月の雇用指数は5カ月ぶりの縮小基調に転じた。調査対象企業からは「サービス需要が弱含みであるため、自主退職した従業員の補充を控えている」などの声が聞かれた。

その一方で、サービス業へのインフレ圧力は緩和されていない。(仕入れ価格の指標である)投入価格指数と(販売価格の指標である)サービス提供価格指数は、1月はそろって前月を上回った。調査対象企業によれば、投入価格指数を押し上げたのは主に人件費や原材料費の値上がりだった。

懸念されるのは、サービス提供価格指数の上昇率が投入価格指数の上昇率を大きく下回っていることだ。これは、企業が仕入れのコストアップを販売価格に十分転嫁できず、利幅が縮小していることを意味する。

本記事は「財新」の提供記事です

こうした実態を反映し、経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、1月は絶対値では依然ボーダーラインを大きく上回ったものの、16カ月ぶりの低水準を記録した。

調査対象企業の経営者の多くは、新型コロナの世界的流行が収束しさえすれば、景気は回復すると確信している。だが、その時期がなかなか見通せず、事業の不確実性が高まっていることへの不安を強めている。

(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は2月7日

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