中国本土の31の省・自治区・直轄市のうち、新型コロナウイルスの局地的流行の影響を受けた天津市を除く30地方が、1月24日までに2022年の経済成長率の目標値を公表した。財新記者の調べによれば、それらの目標値は大部分の地方で前年よりも引き下げられた。
30地方のうち、前年を上回る目標値を掲げたのは甘粛省のみ。前年並みも内モンゴル自治区だけで、9割を超える28地方の目標値が軒並み前年を下回った。これらのなかで目標値が最も高いのは海南省の「9%前後」、次がチベット自治区の「8%前後」、最も低いのは北京市の「5%以上」だ。
多数の地方が目標値を引き下げた裏には、新型コロナウイルスの影響がある。中国では2020年前半に国内で新型コロナの感染が拡大し、ロックダウン(都市封鎖)などの厳しい防疫措置により経済活動が停滞した。その反動で、翌2021年の各地方の経済成長率は例年より高い数値が出ていた。
2022年の目標値が前年より低めに設定されたのは、その調整のためと見られている。なお、2022年の目標値を2020~2021年の2年間の平均成長率と比較すると、26地方で前者が後者を上回っている。
景気減速で地方政府にプレッシャー
地方別の目標値を見ると、海南省が全国トップの目標値を掲げた背景には、活況を呈する「海南自由貿易区」がもたらす経済的利益の拡大への期待があると言えそうだ。
2020年の新型コロナ流行で深刻な打撃を受けた湖北省は、2022年の目標値を「7%前後」に設定した。湖北省長の王忠林氏のスピーチによれば、この目標値は同省の潜在成長率に見合ったものであり、実現を通じて雇用の安定、社会福祉の維持、地域経済の競争力強化などを図るとしている。
その一方、広東省、江蘇省、山東省、上海市、北京市など地域経済が発達した地方の多くは、2022年の目標値を(全国平均より低い)5.0~5.5%に設定した。例えば目標値を「5.5%前後」とした広東省政府は、「過去2年間の平均成長率と、広東省の第14次五カ年計画(2021~2025年)の目標を勘案して決定した」と理由を説明している。
だが、これらの目標値の達成は(2021年後半からの景気減速や不動産不況を受けて)容易ではないとの見方もある。その意味で、2022年の前半にどこまで地域経済をテコ入れできるか、各地方の政府には大きなプレッシャーがかかっている。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は1月24日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら