中国の「新エネルギー車」メーカーが、政府の補助金縮小や電池原材料の高騰を受けて、相次いでクルマの値上げに踏み切っている。その最新事例はEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)だ。同社は1月21日、新エネルギー車の希望小売価格を1台当たり1000~7000元(約1万7930~12万5510円)引き上げると明らかにした。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
BYDは「王朝」と「海洋」という2つの販売チャネルを持つ。王朝チャネルでは価格帯が14万~24万元(約251万~430万円)の中高級モデル、海洋チャネルでは主に10万元(約179万円)以下のエントリー・モデルを販売しているが、値上げは両方のチャネルで実施する。
自動車産業を所管する工業情報化省など中国政府の4省庁は、新エネルギー車の購入者に対して支給している補助金を2022年から30%減額した。するとアメリカのEV大手のテスラや中国の小鵬汽車(シャオペン)など複数のメーカーが、BYDに先んじて値上げを発表した。
消費者は値上げを受け入れるのか
新エネルギー車のメーカー各社は、補助金縮小と同時に車載電池の大幅なコストアップにも悩んでいる。電池製造に欠かせない原材料であるリチウムやニッケルなどの価格が、過去1年間で2倍以上に急騰したためだ。
車載電池の業界団体がまとめたデータによれば、正極材に使われるニッケル・コバルト・マンガンの比率が5:2:3の「三元系」のリチウムイオン電池の生産原価は、2020年6月から2021年末までの1年半に48.1%も上昇した。また、「リン酸鉄系」のリチウムイオン電池の生産原価も同じ期間に40.4%上がった。
今後の焦点は、新エネルギー車の値上げに対して消費者がどう反応するかだ。財新記者の取材に応じた自動車業界のある専門家は、次のようにコメントした。
「理由が補助金縮小であれコストアップであれ、メーカーがあえて値上げに踏み切ったのは、自社のクルマの競争力に自信がある表れと言える。要するに、メーカーは消費者が値上げを受け入れると判断した。しかし市場の動きをもうしばらく観察しなければ、それが正しいかどうかはわからない」
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は1月22日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら