中国の動画配信サービス大手の「Bilibili(ビリビリ)」は3月3日、2021年10~12月期の四半期決算と2021年の通期決算を発表した。10~12月期の売上高は57億8100万元(約1055億円)と、前年同期比50.55%の大幅増収を記録。しかし純損益は四半期ベースで過去最悪の20億9600万元(約382億円)の赤字に陥り、その額は前年同期の2.5倍に膨れ上がった。
同社の説明によれば、赤字拡大の主因は新規ユーザー獲得のため販売・マーケティング費用がかさんだためだ。販促ルートの多様化や、スマートフォン向けオンラインゲームの宣伝などに注力した結果、10~12月期の決算書には販売・マーケティング費用として前年同期の1.73倍の17億6200万元(約321億円)が計上された。
積極的な販促活動の後押しで、ビリビリのユーザー数は増勢を維持している。2021年12月末時点の月間アクティブユーザー数は2億7170万人と1年前より35%増加、1日当たりアクティブユーザー数は7220万人と同34%増加した。
直前の2021年7~9月期との比較では、10~12月期のユーザーの増加ペースはほぼ横ばいだった。ただ、ユーザーの1日当たり平均視聴時間は88分から82分へと若干減少した。
株価は最高値から8割下落
そんななか、ビリビリのCEO(最高経営責任者)を務める陳睿氏は強気の姿勢を崩していない。陳氏は決算説明会で次のように述べた。
「2022年1月末時点の月間アクティブユーザー数は3億人を超え、1日当たり平均視聴時間は90分を上回った。この勢いを持続させ、2023年には月間アクティブユーザー数4億人を達成したい」
しかし決算の数字に目を移すと、2021年の通期売上高は193億8400万元(約3536億円)と前年比61.55%増加したが、成長ペースは前年よりやや鈍化している。純損益は68億900万元(約1242億円)の赤字を計上。損失額は前年の2.23倍、前々年の5倍弱であり、膨張に歯止めがかからない。
市場関係者の間では、ビリビリを含む動画配信業界の収益性を疑問視する声が高まっている。
ビリビリは2021年3月に香港証券取引所への上場を果たし、株価は同年半ばに最高値をつけた。だが、その後は右肩下がりが続いており、2022年3月上旬時点の株価は最高値から8割近く下落している。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は3月3日
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