中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の売上高が19年ぶりの減少を記録した。同社は3月28日、広東省深圳市の本社で2021年の業績説明会を開催。そこで発表された同年のグローバル売上高は6368億元(約12兆2083億円)と、前年比28.6%減少した。
ファーウェイの売上高が前年割れを記録したのは、2002年以来のことだ。当時、同社は2G(第2世代移動通信)技術の主流だった「GSM」規格に固執し、(国有通信大手の中国聯合通信が採用した)「CDMA」規格の大口受注の機会を逸した。さらに、中国の地方都市や農村部で人気を博していた簡易型移動通信技術「小霊通(シャオリントン)」でも判断を誤り、市場シェアを落としてしまった。
だが、2021年の状況は19年前とはまったく異なる。ファーウェイのCFO(最高財務責任者)を務める孟晩舟氏は業績説明会で、減収の理由として次の3つの要因を挙げた。第1に、アメリカ政府の制裁の影響でスマートフォン事業が縮小を余儀なくされたこと、第2に、中国国内の5G(第5世代移動通信)ネットワークの建設がピークを越えた(ため、基地局などの受注が頭打ちになった)こと、第3に、世界各地で展開している事業が新型コロナウイルス流行の影響を受けたことだ。
法人向け事業も目標に遠く及ばず
売上高の減少とは対照的に、ファーウェイの2021年の純利益は1137億元(約2兆1798億円)と前年比75.9%の大幅増益を記録した。その要因について同社は、一部事業の売却益、経営効率の改善、プロダクトミックスの最適化などを挙げた。
なかでも大きな比重を占めたのが、低価格スマホが中心のサブブランドだった「栄耀(Honor)」の分離売却と、「x86」規格のサーバー事業の売却による利益だ。両事業を含む2021年の事業売却益の総額は、純利益の5割に相当する574億元(約1兆1004億円)に上った。
主力事業別の売上高に目を移すと、スマホやパソコンなどのコンシューマー向け事業は前年比49.6%減の2434億元(約4兆6663億円)と、アメリカの制裁や栄耀の分離売却の影響で大幅に縮小した。5G基地局などの通信事業者向け事業も、前年比7%減の2815億元(約5兆3967億円)とマイナス成長に終わった。
そんななか、クラウドサービスなどの法人向け事業の売上高は1024億元(約1兆9631億円)と、前年比2.1%のプラス成長を確保した。だが、2021年初めにファーウェイが掲げた同事業の目標値は200億ドル(約2兆4414億円)であり、それには遠く及ばなかった。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は3月28日
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