中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が、市場の予想を超える好業績をたたき出した。同社が2月10日に開示した2021年の通期決算報告によれば、売上高は前年比39.3%増の54億4300万ドル(約6303億円)、純利益は同2.4倍の17億200万ドル(約1971億円)と、大幅な増収増益を達成した。
その追い風になったのは、2021年を通して続いた世界的な半導体不足と中国本土の顧客からの旺盛な需要だ。とはいえ、SMICは同時に複数の困難な問題に直面しており、業績への影響が注目されていた。
なかでも最大の難事は、2020年12月にアメリカ商務省が同社をエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加したことだ。アメリカ企業が半導体の製造設備や原材料、ソフトウェアなどをSMICに販売する場合、事前に商務省の許可を得なければならなくなり、SMICの事業計画が制約を受けるリスクが高まった。
2021年後半には、経営レベルでの人事の混乱も表面化した。その結果、開発担当副総裁(副社長に相当)の呉金剛氏、董事長(会長に相当)の周子学氏、副董事長(副会長に相当)の蒋尚義氏などの大物幹部が、相次いで同社を去った。
最先端設備の導入には依然として壁
しかしフタを開けてみると、2021年のSMICの業績は上述の困難の影響をまったく感じさせなかった。
「エンティティー・リストへの指定が、わが社の経営に大きな影響をもたらしたのは事実だ。それでも、われわれは過去1年間、合法的な経営を堅持しながら(海外の)サプライヤーとより緊密に協力することで、多くの問題を解決することができた」。SMICの代理董事長兼CFO(最高財務責任者)を務める高永崗氏は、2月11日の決算説明会でそう述べた。
もちろん、SMICはすべての困難を克服できたわけではない。(例えばEUV[極端紫外線]露光装置のような)最先端の製造設備の導入にあたっては、エンティティー・リストへの指定が依然として高い壁になっている。「この問題は避けられない現実であり、2022年の事業計画に反映済みだ」。高氏はそう補足した。
そんななか、SMICはエンティティー・リストの影響を受けない現行世代の技術による生産能力拡大に邁進している。同社の共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、決算説明会で次のように明らかにした。
「2021年の生産能力は8インチウエハー換算で月間10万枚を突破し、計画を超える増強を実現した。2022年は同じく8インチウエハー換算で13~15万枚に拡大する計画だ」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は2月11日
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