半導体の受託製造(ファウンドリー)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は1月13日、2021年10~12月期および2021年通期の決算報告を発表した。それによれば、10~12月期の売上高は前年同期比21.2%増の4381億8900万台湾ドル(約1兆8228億円)、純利益は同16.4%増の1662億3200万台湾ドル(約6915億円)を計上。売上高、純利益ともにアナリストの事前予想を上回り、四半期ベースの過去最高を更新した。
2021年通期の売上高は前年比18.5%増の約1兆5900億台湾ドル(6兆6144億円)に達し、やはり過去最高を記録した。通期の純利益は前年比15.2%増の5965億4000万台湾ドル(約2兆4816億円)と、際立つ収益力を見せつけた。
売り上げ増加の要因について、TSMCのCFO(最高財務責任者)を務める黄仁昭氏は決算説明会で「5G(第5世代移動通信)および高性能コンピューティングの需要拡大が追い風になった」と説明した。また、過去1年間に台湾ドルの対ドル為替レートが約5%上昇したことから、「ドルベースの通期売上高の増加率は24.9%となる計算だ」と黄氏は補足した。
生産能力の逼迫は2022年を通じて続く
製品セグメント別の売上高を見ると、2021年通期ではスマートフォン向け半導体が総売上高の44%を占めたが、2020年比では4ポイント低下した。一方、高性能コンピューティングの売り上げ比率は37%と、前年より4ポイント上昇。車載用半導体の比率は4%と前年比1ポイント上昇した。
微細化技術の世代別の売上高では、2020年から量産を始めた回線幅5nm(ナノメートル)のプロセス技術の比率が、2020年の8%から2021年は19%に上昇した。一世代前の7nmは2020年より2ポイント下がったものの、なお31%を占めた。なお、次世代の3nmの進捗状況について、TSMC総裁(社長に相当)の魏哲家氏は「開発を計画どおりに進めており、2022年後半に量産を始めたい」と語った。
自動車業界やエレクトロニクス業界では世界的な半導体不足がすでに1年以上続き、半導体メーカー各社は急ピッチで生産能力を拡大している。そんななか、市場関係者からは将来の生産能力過剰を心配する声も出始めている。
それに対して魏氏は、「車載用、サーバー、パソコン、ネットワーク機器、スマートフォンなどの需要動向を勘案すると、TSMCの生産能力は2022年を通じて逼迫した状況が続く見込みだ」とコメントした。
(財新記者:翟少輝、鐘騰達)
※原文の配信は1月13日
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