中国のスマートフォン市場が成熟するなか、スマホメーカーが目玉機能を競い合う「消耗戦」が激しさを増している。カメラ機能の高度化や(画面の枠をなくした)全面ディスプレー化、サウンドの高音質化などに続く新たな焦点は、画面を折り畳める「フォルダブル」だ。
スマホ大手の栄耀(Honor)は1月10日、フォルダブル・スマホの新機種「Magic V」を発表した。過去1カ月の間にフォルダブルの新製品をお披露目したのは同社が3社目だ。OPPO(オッポ)は2021年12月15日、同社初のフォルダブル・スマホ「Find N」を発表。12月23日には華為技術(ファーウェイ)が縦開き式の「P50 Pocket」を発表した。
栄耀のMagic Vは、中国のパネル大手の京東方科技集団(BOE)から独占供給を受けるフレキシブル有機ELディスプレーを搭載。端末を畳んだ状態でもアプリを操作できるように、本体の外側と内側の両方にディスプレーを配置している。
そのうち外側には6.45インチの通常のディスプレー、内側には7.9インチのフォルダブル・ディスプレーを搭載。プロセッサーにはクアルコムの最新ハイエンド・チップの「スナップドラゴン8」を採用し、価格は9999元(約18万円)からだ。
2021年7~9月期の出荷台数は4.7%減
フォルダブル・スマホは2018年に登場したが、価格は安い機種でも1万元(約18万円)以上、高いものは2万元(約36万円)前後が当たり前だった。しかし最近の新製品は、最低価格が1万元を切るレベルに下がってきている。OPPOのFind Nの価格は7699元(約14万円)から、ファーウェイのP50 Pocketは8988元(約16万円)からだ。
価格の低下は消費者にとっては朗報だが、メーカー関係者の心境は複雑だ。「フォルダブル・スマホの相次ぐ発表は、中国スマホ業界の過当競争ぶりを象徴している」。ある大手スマホメーカーの社員はそう嘆く。
中国ではスマホの普及がすでに飽和状態に達している。市場調査会社のIDCのデータによれば、2021年7~9月期の中国市場のスマホ出荷台数は約8080万台と、前年同期より4.7%減少した。
2021年7~9月期の出荷台数に占めるメーカー別のシェアは、首位のvivo(ビーボ)が22.1%。第2位以下はOPPOが19.9%、栄耀が17.3%、小米(シャオミ)が13.6%、アップルが13.0%と続く。各社のシェアは数%刻みで拮抗しており、限られた市場のパイを激しく奪い合っている。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は1月11日
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