中国の再生エネルギー大手の遠景科技集団(エンビジョングループ)は3月16日、傘下の車載電池メーカーの遠景動力(エンビジョンAESC)が、ドイツの高級車大手メルセデスベンツと車載電池の供給契約を結んだと発表した。
メルセデスベンツは、アメリカのアラバマ工場で生産しているSUVタイプのEV(電気自動車)「EQS」と「EQE」の2車種に、エンビジョンAESC製の電池を搭載する。メルセデスベンツ側もコメントを発表し、「エンビジョンAESCはわれわれの主要な電池サプライヤー(の1社)となり、アメリカでのEQシリーズの生産を支えてもらう」と期待を示した。
エンビジョングループは風力発電機で中国2位。車載電池には2019年、日本の日産自動車とNECなどの合弁会社だったオートモーティブエナジーサプライ(AESC)を買収して参入した。
AESCは、日産が2010年に鳴り物入りで発売したEV「リーフ」の初代モデルに電池を供給したことで知られている。しかし2016年、日産は電池事業からの撤退を表明。その後、紆余曲折を経てエンビジョングループがAESCの経営権を獲得した。
2025年に生産能力300GWh超目指す
調査会社のSNEリサーチのデータによれば、2021年に生産された新車へのエンビジョンAESC製電池の装着量は4.2GWh(ギガワット時)、電池メーカー別のランキングでは世界9位につける。
だが、装着量の前年比の増加率は7.7%と、わずか1桁の伸びにとどまった。寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)など、中国の上位メーカーの増加率は100%を超えており、大幅な出遅れが否めない。
エンビジョンAESCは今後、猛烈な巻き返しを図る計画だ。同社のウェブサイトによれば、現時点の車載電池の生産能力は年間12.5GWh、供給先の自動車メーカーはルノー、日産、ホンダなどに限られている。
しかしメルセデスベンツからの受注を機に、アメリカで新工場の建設に着手。既存工場も増強し、2025年には全社の生産能力を年間300GWh超に引き上げる目標を掲げている。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は3月16日
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