中国車載電池「国軒高科」がスイスで上場の狙い 「EVシフト」の波に乗りグローバル市場開拓へ

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国軒高科はスイス上場をテコにグローバル市場での飛躍を目指す。写真は2021年7月にオンラインで行われた同社とVWの戦略提携調印式(国軒高科のウェブサイトより)

深圳証券取引所に上場する中国の大手電池メーカー、国軒高科(ゴーション・ハイテク)は3月16日、グローバル預託証券(GDR)を発行してスイスの証券取引所に重複上場する計画を明らかにした。

中国の車載電池業界で、国軒高科は寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)、中創新航科技(CALB)に続く第4位につけている。業界団体のデータによれば、中国国内で生産されたEV(電気自動車)などへの搭載量に基づく市場シェアは、2022年1~2月は5.5%だった。

同社の筆頭株主はドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の中国法人であり、発行済株式の26.47%を握っている。国軒高科の発表によれば、GDRの発行後も主要株主の変動はないという。

なお、今回のGDR発行の狙いについて、国軒高科は「海外の資本市場からの資金調達を通じて、事業の発展とグローバル市場の開拓促進を図る」と説明している。

大株主のVWと電池工場を共同建設も

世界の自動車産業で「EVシフト」が加速するなか、動力源である車載電池の重要性が高まっている。中国には車載電池の要素技術や材料・部品・最終製品のサプライヤーがそろい、世界の生産能力の7割が集中している。

言い換えれば、中国の車載電池メーカーにとって、今は海外市場に進出してビジネスチャンスをつかむ絶好のタイミングなのだ。

その点、国軒高科は大株主のVWの強いサポートが期待できる。2021年7月、両社は戦略提携の覚書を交わし、車載電池の材料、製品、リサイクルまでを包括する「ライフサイクルチェーン」をヨーロッパで共同構築する計画を打ち出した。

本記事は「財新」の提供記事です

VWは目下、急進的とも言えるEVシフトを推進中だ。グループ傘下の完成車メーカーで共用する「標準電池セル」を2023年から量産し、2030年までにグループのEVの8割に搭載することを目指している。

これを実現するため、VWはヨーロッパに6カ所の電池工場を建設し、年間240ギガワット時の生産能力を確保する計画だ。そのなかで、国軒高科はVWの標準電池セルのサプライヤーとなるだけでなく、VWと共同出資で電池工場を建設する可能性がある。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月18日

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