中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)が、欧州市場で販売地域を拡大している。同社は2月10日、スウェーデンおよびオランダの自動車販売会社と提携し、現地で販売・アフターサービス網を構築すると発表。翌2月11日には、欧州初の直営ショールームをスウェーデンの首都ストックホルムにオープンした。
小鵬汽車が最初の海外進出先に選んだのは、やはり欧州のノルウェーだった。2020年12月、SUVの「G3」を欧州上陸の第1号車としてノルウェーの顧客に納車。その後、2021年8月にセダンの「P7」を追加投入した。
ノルウェーはEVの普及率が世界トップの国であり、2022年1月の新車販売台数に占めるEV比率は9割に達している。中国のEVメーカーにとって、このことは大きな魅力であり、小鵬汽車のみならず蔚来汽車(NIO)や比亜迪(BYD)も最初の進出先にノルウェーを選んだ。
チャンスを逃せば後がないリスクも
もっとも、ブランドの知名度が低い中国メーカーにとって、欧州市場の開拓は容易なことではない。
アメリカの環境技術情報サイトのクリーンテクニカによれば、ノルウェーの車名別のEV販売ランキングで、2021年12月のトップはアメリカのテスラの「モデルY」、2位はやはりテスラの「モデル3」、3位はドイツのフォルクスワーゲンの「ID.4」だった。一方、中国ブランドで上位20位までにランクインしたのはBYDの「唐(タン)」だけだった。
中国の自動車産業は、新車開発のEVシフトで(欧州の自動車メーカーより)先行しており、(車載電池など)基幹部品のサプライチェーンも国内に揃っている。欧州市場では「脱炭素」政策の推進とともにEVの需要が急拡大しており、業界関係者の多くが「中国のEVメーカーにとって千載一遇のチャンス」だと期待をかける。
だが気がかりなのは、このチャンスがどれだけ長く続くかだ。「欧州の自動車メーカーは急速にEVシフトを進めており、キャッチアップは時間の問題だ。もし今のチャンスを逃せば、中国ブランドが欧州市場に足場を築くのはさらに難しくなるだろう」。自動車輸出に携わる中国のある業界関係者は、そう予想する。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は2月12日
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