「新エネルギー車の市場は急成長を続け、2025年の中国市場の年間販売台数は1200万台に達する可能性がある。それに伴い、自動車産業の二酸化炭素(CO2)の排出量削減が後押しされるだろう」――。
中国政府直属のシンクタンク、国務院発展研究センターの市場経済研究所の副所長を務める王青氏は、11月5日に開催されたフォーラムでそんな予想を披露した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
王氏の予想の背景には、中国の自動車市場で新エネルギー車の存在感が急速に高まっていることがある。中国汽車工業協会のデータによれば、2022年9月の新エネルギー車の国内販売台数は70万8000台と、前年同月の1.94倍に増加。エンジン車を含めた新車販売全体に占める比率は27.1%に達した。
「新型コロナウイルスの流行や半導体不足の影響を受けながらも、中国の自動車市場は回復傾向を維持している。特に6月以降の販売台数は、前年同月比25%以上の増加が続いている」(王氏)
CO2排出削減に高い効果
王氏によれば、2021年以降に(新型コロナや半導体不足の影響で)抑制されていた約150万台分の需要が戻ってきたところへ、(新エネルギー車に対する関心の高まりによる)新たな需要が上乗せされ、現在の販売好調を支えているという。
さらに王氏は、新エネルギー車の普及を通じたCO2排出削減効果のなかでも、EVの効果が特に大きいと強調した。EVは走行時にCO2を排出しないが、車両の製造過程や充電用の電力の発電時などにCO2が排出される。
車両の(生産から廃車に至る)ライフサイクル全体で見ると、生産時のCO2排出量はエンジン車よりもEVのほうが約50%多い。しかし、走行時には逆にEVのほうが48~55%少ないため、「車両の使用期間が長ければ長いほど排出削減効果が高くなる」と、王氏は解説する。
新エネルギー車の普及が今のペースで進めば、中国の自動車産業は2030年前後にCO2排出量を減少に転じさせることができると、国務院発展研究センターは予想している。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は11月6日
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