アメリカのEV(電気自動車)大手のテスラは10月24日、中国上海市の工場で現地生産している主力2車種の大幅値下げを発表した。
セダンの「モデル3」の価格はグレードによって1万4000~1万8000元(約29万~37万円)引き下げられ、ベースグレードの車両価格は26万5900元(約542万円)からに。SUVの「モデルY」は同じく2万~3万7300元(約41万~76万円)安くなり、ベースグレードは28万8900元(約589万円)からになった。
モデルYは中国市場で最も人気の高いテスラ車であり、2022年1月から9月までの販売台数は前年同期の2.4倍の21万9000台に上った。それだけに、今回の大幅な値下げは驚きを誘った。一方、モデル3の1~9月の販売台数は9万9000台にとどまり、前年同期比11%減少している。
テスラ車の販売動向の変化は、今や世界の自動車業界と市場関係者の注目の的だ。同社のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、10月19日に開催された2022年7~9月期の決算説明会で次のように述べた。
「需要に問題は生じておらず、10~12月期の業績は過去最高になるだろう。われわれは、年平均50%のペースで(全世界の)販売台数を拡大する目標を変えていない。ただし、2022年の販売台数は目標を幾分下回る可能性がある」
中国EVメーカーの攻勢に反撃
高い販売目標を達成するうえで、中国は世界のほかの市場より強い圧力にさらされている。テスラは上海工場の生産能力を急速に拡大しており、業界関係者の間では、現在の生産能力は年間100万台に達したとの見方もある。
そんななか、中国市場ではEVメーカー同士の競争が日に日に激化している。中国メーカーがテスラ車と同じ価格帯にニューモデルを続々投入しているのと比べ、テスラはモデルチェンジのサイクルが長く、車種のラインナップも豊富とは言えない。
中国の業界関係者の間では、テスラ車の魅力が相対的に低下しているとの見方が増えている。
今回の意表を突く大幅値下げは、テスラが中国市場で反撃に転じた表れと言えそうだ。「蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(シャオペン)、理想汽車、比亜迪(BYD)などの高級車種は大きな影響を受けるだろう」。中国自動車流通協会のアナリストの李顔偉氏は、そう予想する。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は10月24日
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