中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)は9月21日、同社のフラッグシップモデルとなる高級SUV「G9」を発表した。800ボルトの高電圧による超急速充電機能や、(高速道路だけでなく市街地の一般道路を含む)あらゆる走行環境に対応した運転支援システムを搭載。中国メーカーの量産EVとしては最先端の機能を詰め込んでいる。
小鵬汽車は2018年末に第1号モデルを発売して以来、ラインナップの高級化を推し進めている。同社の4車種目となるG9は、ベースモデルの希望小売価格を30万9900元(約626万円)に設定した。小鵬汽車が30万元超のEVを投入するのは初めてで、超急速充電機能や運転支援システムなどのオプションを全搭載した場合の価格は42万元(約849万円)に迫る。
この価格帯の高級SUV市場は、(EVだけでなくエンジン車を含む)自動車メーカー各社がしのぎを削る激戦区だ。新興EVメーカーのなかでは理想汽車が6月に発表した「L9」や蔚来汽車(NIO)が同じく6月に発表した「ES7」も、40万~45万元(約808万円~909万円)のプライスタグをつけている。後発のG9が、そこに割って入るのは容易ではない。
専用充電装置の設置は始まったばかり
G9の最大の売り物は、ライバルに先駆けて搭載した800ボルトの超急速充電システムだ。小鵬汽車が8月に発表した専用充電装置を利用すれば、わずか5分の充電で200キロメートル走行できる。また、電池の残量10%の状態から80%まで充電する場合も20分しかかからないという。
とはいえ、専用充電装置の設置はまだ始まったばかりだ。現時点では北京市、上海市、広州市、深圳市、武漢市の主要5都市に合計6カ所しかない。財新記者の取材によれば、小鵬汽車は専用充電装置を設置した充電ステーションを2022年末までに全国に50カ所以上、2023年末までに500カ所、2025年末までに2000カ所に増やす目標を立てている。
EVのユーザーや潜在購入者が何より気にするのは、クルマの航続距離と充電の利便性だ。小鵬汽車は(車載電池の大容量化による)航続距離の延長に加えて、充電時間の短縮と充電ステーションの増設を進めることで、ユーザーの不安の払拭を図ろうとしている。
「EVの航続距離が700キロメートルに達すれば、充電の頻度はエンジン車(の燃料補給の頻度)に近づく。800キロメートル以上の航続距離が必要なケースは、現実にはほとんどない」
小鵬汽車の董事長(会長に相当)を務める何小鵬氏はそう語り、EVの利便性がエンジン車に遜色ないレベルに近づいているとの自信を示した。
(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は9月23日
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