中国の自動車の生産・販売が急回復を見せている。中国汽車工業協会が6月10日に発表したデータによれば、5月の生産台数は192万6000台と前月比59.7%、販売台数は186万2000台と同57.6%それぞれ増加した。ただし前年同月との比較では、生産は9.6%、販売は12.2%少なかった。
4月は新型コロナウイルスの流行が中国各地で拡大し、自動車産業のサプライチェーンは(防疫措置の強化に伴う外出制限や物流混乱などの)厳しい試練に直面した。同月の自動車生産台数は前年同月比46.1%、販売台数は同47.6%も減少し、過去10年間の最低記録をつけた。
しかし5月に入ると、新型コロナの感染拡大に歯止めがかかり、多くの地方で防疫措置が緩和された。それとともに自動車生産の回復が加速し、さらに(中央政府が打ち出した)自動車取得税の減免や地方政府の補助金支給などの購入刺激策も相まって、自動車販売にも一気に活気が戻った。
PHVの売れ行きに勢い
なかでも好調なのがEV(電気自動車)に代表される「新エネルギー車」だ。5月の新エネルギー車の販売台数は44万7000台と、前年同月の2.1倍に増加。とはいえ、新型コロナの影響がまだ軽微だった3月の48万4000台には届いておらず、完全に回復したとまでは言いがたい。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
新エネルギー車のなかでも特に勢いがあるのがPHVだ。5月の販売台数は前年同月の2.6倍の10万台と、新エネルギー車全体の伸びを上回った。例えばPHVのラインナップが豊富なEV大手の比亜迪(BYD)は、5月のPHVの販売台数が6万台を突破し、新エネルギー車全体の販売台数(11万4000台)の半分以上を占めた。
2022年1月から5月までの累計で見ると、中国市場の新エネルギー車の総販売台数は200万3000台と前年同期の2.1倍に拡大している。
「例年、自動車の月間販売台数は年末が近づくにつれて増える傾向がある。新エネルギー車の2022年の総販売台数が500万台を超えるのはほぼ確実だろう」。中国汽車工業協会の副秘書長を務める陳士華氏は、そう予想する。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は6月11日
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