中国汽車工業協会は5月11日、2022年4月の中国の自動車生産・販売実績を発表した。それによれば、同月の生産台数は前年同月比46.1%減の120万5000台、(輸出を含む)販売台数は同47.6%減の118万1000台に落ち込み、4月としては過去10年間で最低を記録した。
国内市場に限ってみると、4月の販売台数は前年同月比50.6%減の104万台。そのうちエンジン車は同60.8%減の75万1000台だった。一方、新エネルギー車の販売台数は28万8000台と前年同月比では56.9%増加したものの、直前の3月より38.5%減少した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
4月の自動車販売の激減は、新型コロナウイルスの再流行が中国各地に拡大した影響によるものだ。自動車産業のサプライチェーンは(都市のロックダウンに伴う工場の操業停止や、高速道路の通行制限などで)過去にない試練に直面している。多くの自動車メーカーが(部品の調達難から)減産を余儀なくされたり、完成車を販売店まで輸送できなくなったりするなど、産業全体の生産・デリバリー能力が大きく損なわれている。
「購買意欲に破壊的ダメージ」
「わが社の工場は5月11日に生産再開を予定しているが、現時点の部品在庫は3日分しかない。その後も生産を継続できるかどうかは、部品が工場にどれだけ届くかにかかっている」
ある外資系自動車メーカーの合弁会社の関係者は、厳しい現状をそう打ち明けた。この関係者によれば、部品メーカーの供給能力が不足しているだけでなく、部品を工場まで運ぶ輸送力も足りない状況だ。
自動車販売店の実態も厳しい。中国汽車流通協会が5月10日に発表したデータによれば、調査対象の94都市のうち(防疫措置の強化により)営業を休止している販売店がある都市が34に上った。さらにそのうち、営業休止期間が1週間を超えるケースが6割以上に達した。
それだけではない。新型コロナの再流行は消費者の先行き不安をかき立て、購買意欲を大幅に低下させている。前出の合弁会社の関係者は、自身の見方を次のように語った。
「自動車産業に対する新型コロナの負の影響の最たるものは、サプライチェーンの混乱よりもむしろ、大型耐久消費財に対する消費者の購買意欲に破壊的ダメージを与えたことだ」
(財新記者:余聡)
※原文の配信は5月11日
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