中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は5月12日、2022年1~3月期の決算を発表した。同四半期の売上高は前年同期比62.6%増の118億5400万元(約2293億円)、純利益は同2.76倍の28億4300万元(約550億円)に上り、大幅な増収増益を達成した。
中国国内で新型コロナウイルスの流行が再拡大し、企業経営が防疫措置の強化に伴う様々な制約を受けるなか、SMICの好業績は注目に値する。決算報告書の説明によれば、一部の生産設備の年次点検を延期して稼働時間を増やしたことや、(ロックダウンが実施された)天津市と広東省深圳市にある工場への影響が予想を下回ったことなどにより、新型コロナの負の影響を克服できたという。
「1~3月期において、新型コロナの影響が最も大きかったのは天津市の工場だったが、わが社の売り上げに占める比率は高くない。さらに、天津市のロックダウンが比較的早く解除されたことや、(その後の)増産を通じて、影響を相殺することができた」。SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、オンラインでの決算説明会でそう述べた。
4~6月期への影響の予想は困難
だが、より懸念が大きいのは、SMICの本拠地で3月下旬からロックダウンが続く上海市の状況だ。それに関して趙氏は、「現時点までの影響は特別大きくない。今後の増産と上海以外の工場の生産を増やすことで、生産能力の減少をカバーできる」と自信を示した。
とはいえ、半導体産業は高度な分業体制で成り立っている。仮にSMICの(電子回路を焼き付ける)ウェハー生産が順調だったとしても、その後のパッケージング、検査、(顧客までの)輸送などの工程にも防疫措置の制約は及ぶ。そのため最終的な影響がどの程度になるかは、「4~6月期の終了時点、あるいは上海のロックダウンが完全に解除されてからでなければ、確かなことは言えない」と、趙氏は言葉を濁した。
趙氏のコメントについて、SMIC董事長(会長に相当)の高永崗氏はさらにこう補足した。
「4~6月期の経営計画には防疫措置の影響をすでに織り込んでおり、現時点では影響を5%以内に抑えられるとみている。だが、ロックダウンがまだ解除されないうちは、サプライチェーンの各段階が被る影響や、そこからわが社に波及する影響について、正確に予想するのは困難だ」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は5月13日
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