半導体の受託製造(ファウンドリー)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は4月14日、2022年1~3月期の決算を発表した。それによれば、売上高は前年同期比35.5%増の4910億8000万新台湾ドル(約2兆1262億円)に達し、アナリストの事前予想の最高値をも上回った。純利益は同45.1%増の2027億7000万新台湾ドル(約8779億円)と、同じく大幅に増加した。
売上高が急拡大した要因について、TSMCのCFO(最高財務責任者)を務める黄仁昭氏は「高性能コンピューティング(HPC)向けやカーエレクトロニクス向けの需要が大きく伸びたため」と決算説明会で説明した。
1~3月期のHPC向けとカーエレクトロニクス向けの売上高は、直前の2021年10~12月期比でどちらも26%増加。その結果、総売上高に占めるHPC向けの比率は37%から41%に上昇し、スマートフォン向けを初めて抜いてTSMCの最大の稼ぎ頭に躍進した。
一方、スマホ向けの売上高は1~3月は伸び悩んだ。2021年10~12月期比の伸び率はわずか1%にとどまり、総売上高に占める比率は44%から40%に低下した。
需要に供給追いつかぬ状況続く
TSMCは半導体の製造技術で世界をリードし続けている。同社の総裁(社長に相当)を務める魏哲家氏は、「回線幅3ナノメートルの製造プロセスの準備は順調に進んでおり、2022年後半から量産を開始する計画に変更はない。HPC向けとスマホ向けの高性能チップに対する市場の旺盛な需要が、生産拡大を支えるだろう」と自信を示した。
さらに魏氏は、昨今の世界的なサプライチェーンの混乱について次のようにコメントした。
「新型コロナウイルスの世界的大流行や地政学的な要素(訳注:ロシアのウクライナ侵攻や米中対立などを指すとみられる)の影響により、エレクトロニクス産業のサプライチェーンは(リスク回避のために)以前より高水準の在庫を持ち続けると見ている」
在庫の積み増しに加え、5G(第5世代移動通信)やHPC向けの需要が高まり、半導体市場全体の需要は長期的かつ構造的に拡大する。そのような将来分析に基づき、魏氏は「わが社では2022年を通じて需要に供給が追いつかない状況が続く」と見通しを述べた。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は4月14日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら