多数のIT企業が集積し「中国のシリコンバレー」と呼ばれる広東省深圳市が、新型コロナウイルスの流行を封じ込めるためのロックダウン(都市封鎖)に突入。世界のハイテク業界に衝撃が走っている。
深圳市政府は3月13日夜、市民生活と都市運営の継続に不可欠な一部の公共サービス企業を除いて、市内のすべての企業が在宅勤務に切り替え、あらゆる生産・営業活動を停止するよう指示した。この措置は3月14日から20日まで実施され、感染状況によっては延長の可能性もある。
これを受け、電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手の鴻海精密工業(ホンハイ)は3月14日、中核子会社の富士康科技集団(フォックスコン)が深圳市内に2カ所ある大規模生産拠点での操業を直ちに停止し、市政府の防疫対策に協力すると明らかにした。
(訳注:フォックスコンはアップルのiPhoneの生産を受託していることで知られている)
「中国の都市でのロックダウンは(世界の)エレクトロニクス産業にさまざまな影響を及ぼすが、深圳のインパクトはとりわけ大きい」。アメリカの半導体設計会社マーベル・テクノロジー・グループのマット・マーフィーCEO(最高経営責任者)は3月15日、アメリカのニュース専門テレビ局CNBCの取材にそうコメントした。
二重、三重のリスクに直面
2年前に始まった新型コロナの世界的大流行は、グローバル経済に甚大な影響をもたらしてきた。なかでも半導体に代表される電子部品は深刻な供給不足が長引き、自動車メーカーなどが軒並み減産を余儀なくされた。
今年2月下旬からは、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに原油や食糧などの国際商品相場が急騰。そこに深圳のロックダウンが加わり、グローバルなサプライチェーンは今や二重、三重のリスクに直面している状況だ。
仮に今後、ロックダウンが(深圳を含む数都市にとどまらず)中国各地に広がり、経済活動の全国的な停滞を招く事態になれば、世界経済に与えるネガティブ・インパクトは計り知れない。
深圳がロックダウンに入った3月14日から翌15日にかけて、原油の国際相場は2日連続で急落。ロンドン原油市場の北海ブレント先物は3月16日の終値が1バレル当たり98.02ドル(約1万1584円)と、ロシアのウクライナ侵攻後につけた最高値の139.13ドル(約1万6443円)から3割下落している。
(訳注:深圳市政府は3月21日、一部の規制を残してロックダウンを解除した。市の防疫当局は「産業サプライチェーンの安定を確保する」としているが、感染が再拡大する恐れもあり、予断を許さない)
(財新記者:王晶)
※原文の配信は3月16日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら