ウクライナに対するロシアの軍事侵攻の影響が、中国とヨーロッパを結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」にも及び始めた。
財新記者の取材に応じた国際物流業界の複数の関係者によれば、3月2日の時点では、中欧班列のほとんどの列車が正常運行を続けている。しかしウクライナを経由する一部の列車については、運行中止や経路変更を余儀なくされているという。
中欧班列の主力路線は中国東部または中西部の都市を起点とし、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由して、ドイツやオランダの終点に向かうルートだ。しかし本数は少ないものの、ウクライナを経由してハンガリーに向かう列車も走っている。
それらのうち、3月初め時点で直接的な影響が出ているのはウクライナ経由の列車だけだ。中欧班列関連の情報サービスを提供する「探索新絲路」の担当者によれば、ウクライナのイゾフから国境を越えてポーランドのフルビエシュフに至る路線の列車はすべて運行を見合わせている。
対ロシア制裁次第では運行停止も
ロシアの侵攻開始前に中国を出発した列車は、運行を続けるために経路を変更した。国営テレビの中国中央電視台(CCTV)の報道によれば、江西省贛州市の国際貨物ターミナルを2月18日に出発し、ウクライナを経由してハンガリーのブダペストを目指していた列車は、北回りに迂回してベラルーシとポーランドを通り、目的地に向かった。
「中欧班列の98%以上は(もともと)ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由して西ヨーロッパに向かうルートを走っている」。中国商務省直属のシンクタンクの副主任を務める許英明氏はそう解説し、ロシアのウクライナ侵攻の影響は現時点では限られているとの見解を示した。
だがそれでも、ウクライナでの戦争は中欧班列の荷主を強烈な不安に陥れている。欧州連合(EU)がロシアに対する制裁を強化するなか、(ロシアや同盟国のベラルーシを経由する)中欧班列が運行停止を余儀なくされるリスクが否定できないからだ。
「一部の荷主が中欧班列の予約を取り消し、海上輸送に切り替える動きが出てきた。列車に積み込む貨物を十分確保するのが難しくなりつつある」。あるヨーロッパ系物流会社の中国地区責任者は、財新記者の取材に対してそう明かした。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は3月2日
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