ロシアが北極圏で進めている液化天然ガス(LNG)の生産・輸出プロジェクトで、中国の買い手が存在感を増している。1月11日、河北省の民営エネルギー企業の新奥集団と浙江省政府系の国有エネルギー企業である浙能集団の2社は、北極圏の「アークティックLNG2」プロジェクトの事業会社と長期調達契約を結んだと発表した。
アークティックLNG2は、ロシア北極圏のギダン半島西部にあるウトレニエ天然ガス田に直結した液化プラントだ。同ガス田では1兆4300億立法メートルの天然ガスと9000万トンのコンデンセート(天然ガス生産の際に液状で回収される超軽質原油)の埋蔵が確認されている。
プロジェクトは2019年9月に着工しており、第1期の液化プラントが2023年から生産・販売を開始する予定だ。計画では、生産量の80%前後を北極海航路を経由して中国を中心とするアジア太平洋地域に供給する。
カーボンニュートラルの国家目標が後押し
アークティックLNG2の建設を主導するのは、ロシアの大手民間ガス会社のノバテクだ。1月11日に長期契約を結んだ1社である新奥集団は、浙江省舟山市のLNG受け入れ基地で年間60万トンのLNG供給を11年間受ける。
もう1社の浙能集団は、年間最大100万トンのLNG供給を15年間受ける長期契約にサインした。アークティックLNG2に関しては、中国の電力インフラ大手の申能集団も、15年間で合計300万トン以上のLNG供給を受ける長期契約を2021年2月にノバテクと結んだ。
これらを合わせると、新奥集団、浙能集団、申能集団の3社の調達量は年間180万トン前後に上る見込みだ。アークティックLNG2の計画生産量は年間576万トンであり、中国企業がその3割を押さえたことになる。
中国は「二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する」との国家目標を掲げ、石炭よりCO2排出量が少ない天然ガスの利用を急拡大させている。調査会社などの推計によれば、2021年の中国の天然ガス需要は前年比13%増の3600億立方メートルを突破したもようだ。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は1月12日
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