日本のデジタルカメラ大手のキヤノンが、30年余りの歴史を持つ中国の広東省珠海市の工場を閉鎖することがわかった。内情に詳しい複数の関係者の証言によれば、工場の現地運営会社であるキヤノン珠海は1月12日、経営上の大きな困難を理由に、工場の操業停止を社内に通知した。
「デジカメ市場の急激な縮小に、新型コロナウイルスの世界的大流行が重なり、操業の継続が困難になった。このため(日本の)キヤノン本社が、グループ全体の組織再編の一環として珠海工場の閉鎖を決めた」。財新記者の取材に応じた珠海ハイテク開発区の関係者は、操業停止の経緯をそう説明した。
別の関係者は、珠海工場の実態について次のように打ち明けた。
「工場は主に小型デジカメの組み立てを担ってきたが、スマートフォンの普及とともにデジカメの販売が大きく落ち込み、生産ラインはこのところ半停止状態だった。キヤノン本社は(デジカメの)修理業務の一部を珠海工場に移管するなどして支援したが、局面は変わらなかった」
珠海工場の30余年の歴史に幕
キヤノンは1937年創業の世界的なカメラメーカーであり、デジカメのグローバル市場の半分近くを握る。カメラだけでなくレンズ、プリンター、半導体製造用の露光装置、医療機器などの大手メーカーでもある。
珠海工場はキヤノンが中国に持つ5つの生産拠点の1つで、1990年1月に設立された。キヤノン珠海の公表資料によれば、2020年までの累計生産量はレンズが1229万枚、デジカメが102万9000台、デジタルビデオカメラが9万4000台に上る。
前出の開発区関係者によれば、珠海工場の現時点の従業員数は870名余り。会社側は従業員に対して事情を説明し、工場閉鎖(による解雇)に伴う補償の協議を進めている最中だという。
(財新記者:何書静、翟少輝)
※原文の配信は1月14日
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