「中国は原油や天然ガスの対外依存度が高く、国内のエネルギー供給に影響が及ぶのは避けられない。だが、全体的な影響(の度合い)をコントロールすることは可能だ」
中国のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会(発改委)は3月7日、ウクライナに対するロシアの侵攻をきっかけに生じたエネルギーや食糧の国際価格急騰が中国に与える影響について、そう見解を示した。
この日、中国国務院新聞弁公室で開かれた記者会見で、発改委の副主任(副大臣に相当)を務める胡祖才氏は「国内の(エネルギーや食糧の)供給と価格を安定させる任務は新たな挑戦に直面している」と述べた。
胡氏の発言の背景には、新型コロナウイルスの世界的大流行や(それに対応した)世界の主要国の財政支出拡大、(ウクライナ危機や米中対立など)地政学的リスクの高まりなどを受けて、国際商品相場の先行きの不確実性が増していることがある。
しかし胡氏は、「中国は輸入インフレの圧力にさらされているものの、2022年のCPI(消費者物価指数)上昇率を3%前後に制御する政府目標は達成可能だ」と自信を示した。中国経済は市場規模が大きく、政府の政策的手段も豊富にあり、国際環境の変化に対して強靱性を持つ。さらに、ここ数年は国内の穀物生産が豊作続きであることや、(アフリカ豚熱の流行で一時落ち込んだ)養豚業の生産力が回復していることなどが、輸入インフレを緩和する作用を果たすと見ているためだ。
対策の要は「石炭」にあり
中国国家統計局のデータによれば、2022年1月の中国のCPIは前年同月比0.9%上昇した。これはアメリカの7.5%、欧州の5.1%と比べて大幅に低い。また、同月の中国の生産者物価指数(PPI)は前年同月比9.1%上昇したものの、20%を超えた欧州の半分未満だった。
エネルギーの供給と価格の安定については、対策の要は(国内の資源量が豊富な)石炭にある。中国のエネルギー消費全体に占める石炭の比率は56%、火力発電所の総発電量に占める石炭火力の比率は60%前後に上るためだ。「石炭価格を安定させれば電力価格も安定し、(中国の)エネルギー価格が土台から安定する」。前出の胡氏はそう述べた。
さらに、発改委の記者会見に出席したもう1人の副主任の連維良氏は、政府の対策のボトムラインについて次のように説明した。
「よほどの非常事態に陥らない限り、電力とガスの供給制限は行わない。仮に非常事態が現実になり、供給制限を余儀なくされたとしても、供給を完全に止めることはない。いかなる事態においても、民生用エネルギーの最低限かつ安全な供給を守り抜く」
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は3月7日
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