EV(電気自動車)に代表される「新エネルギー車」の産業発展を支援するため、中国・上海市は充電インフラの建設を加速する。上海市政府弁公庁は2月24日、『本市の充電・電池交換インフラ建設の推進に関する実施意見』と題した文書を発表、先進的な充電ネットワークの構築に向けた具体的な数値目標を掲げた。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
上述の文書によれば、2025年までに125万台以上の電動車の充電ニーズに応えられるよう、電動車1台に対して2基以上の充電装置の整備を目指している。このことは、2025年に上海市内の充電装置が250万基を超えることを意味する。
上海市交通委員会のデータによれば、上海市の新エネルギー車の保有台数は2021年末時点で62万台を超え、中国で首位に立っている。市内の充電装置は50万基以上に達しており、電動車1.3台に1基の比率となっている。
「ゾンビ充電装置」の淘汰も課題
財新記者の取材に応じたEV業界の専門家は、「2025年に電動車と充電装置の比率が2:1という目標は、やや保守的だ」と評価した。とはいえ、上海の旧市街には(モータリゼーションが始まる以前に建設された)古くて狭い集合住宅が数多く残っており、そうした地区での充電設備の増設は簡単ではない。
一方、不特定多数のユーザーが利用する公共充電スタンドの整備も、課題が山積している。EVオーナーの間では「(スタンド内の)充電装置の数が足りない」、「急速充電装置が少ない」、「故障中で使えない充電装置が多い」など不満の声が目立ち、多くのオーナーは主に自宅に設置した充電装置を利用している。その結果、公共充電スタンドは設備の稼働率が上がらず、運営会社は苦しい経営を迫られている。
複数の業界関係者によれば、公共充電スタンドの稼働率低迷の本質的な原因は、運営会社の管理水準(の低さ)にある。
このため冒頭の上海市政府の文書では、(故障などで利用できない)「ゾンビ充電装置」の存在を調査・是正するための制度を作り、その数を運営会社への補助金支給に反映させることで、ゾンビの淘汰を図るよう提言している。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は2月24日
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