中国政府「粗鋼減産政策」の継続を宣言した背景 鋼材需要が落ち込むなか、市場下支えが狙いか

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中国の1~3月の粗鋼生産量は前年同期比約1割減少した。写真は河北省唐山市の製鉄所の転炉設備(唐山鋼鉄集団のウェブサイトより)

中国政府のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会(発改委)は4月19日、中国国内の粗鋼生産量を前年実績より低く抑える「減産政策」を2022年も継続すると発表した。

この情報が伝わると、中国国内の鉄鉱石相場は下落。代表的な先物価格の4月19日の終値は1トン当たり887元(約1万7832円)と、前日比3.3%安で引けた。とはいえ、この水準でも2022年初頭に比べて約3割値上がりしている。

一方、2022年の粗鋼生産の状況を見ると、1月から3月までの累計生産量は前年同期比10.5%減の2億4300万トンにとどまった。この期間に首都の北京で冬季オリンピックや全国人民代表大会(国会に相当)が開催され、華北地方の製鉄所が(大気汚染対策のための)減産対応を取ったためだ。

だが、1~3月には中国の鋼材消費の半分を占める不動産業界の(マンション建設向けなどの)需要が大幅に落ち込んでおり、それも生産減少の一因になったとみられている。

地域や対象を絞り重点的に減産

「目下の鋼材需要は大きく後退している。不動産業界の需要減少が続いていることに加えて、新型コロナウイルスの再流行や、それに伴う防疫措置の強化が需要の足を引っ張っている。そんな現況下で打ち出された(発改委の)減産政策は、鋼材市場の将来に対する期待を高め、市場参加者の自信を下支えする作用がある」

鉄鋼業界専門の市場調査会社、蘭格鋼鉄研究センターの主任を務める王国清氏は、減産政策継続の意義をそう解説する。

なお発改委によれば、2022年の減産政策は全国一律ではなく、高い政策効果が見込める地域や対象を絞って実施される。重点地域は大気汚染が深刻な北京市、天津市、河北省、長江下流地域、汾渭平原(訳注:山西省の汾河流域と陕西省の渭河流域)などだ。それ以外の地域でも、環境対策のレベルやエネルギー効率、生産設備の技術水準などが立ち後れた製鉄所が減産や閉鎖の対象になる。

本記事は「財新」の提供記事です

業界団体の中国鋼鉄工業協会は、減産政策の継続を受けて4月19日に発表した文書のなかで、今後の対応について次のような指針を示した。

「鉄鋼業界の任務は、市場の需要が限られている状況のなかで需給バランスを維持することだ。各企業は製品の品質向上、エネルギー効率の改善、環境対策にしっかり取り組まなければならない」

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は4月20日

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