国際海運ハブの王座をめぐるシンガポール港と上海港の競争が、さらに激しさを増そうとしている。2022年9月、コンテナ取扱量が世界第2位のシンガポール港で新たなコンテナ埠頭が稼働した。一方、世界首位の中国の上海港では、長年待たれていた新埠頭の建設がまもなく始まる。
上海港の運営を担う国有企業の上海国際港務集団は6月、同港のコンテナ取り扱いの中心である洋山深水港に新たなコンテナ埠頭と関連施設を建設すると発表。総投資額は550億元(約1兆1059億円)に迫る。(訳注:上海港は複数の港湾の集合体で、洋山深水港はその1つ)
「小洋山北作業区」と呼ばれる新埠頭には、7万トン級のコンテナ船が接岸できる岸壁が7バース、2万トン級が15バース設置され、完成時の年間取扱能力は1160万TEU(20フィートコンテナ換算)を見込む。2022年10月末に建設工事を開始した後、段階的に供用を開始し、8年以内に全工程を完成させる計画だ。
シンガポール「トゥアス港」が稼働
新埠頭建設の背景には、上海港のコンテナ取扱量が能力いっぱいに近づいていることに加えて、宿敵のシンガポール港の猛烈な追い上げがある。
シンガポールでは9月1日、新コンテナ埠頭「トゥアス港」の第1期プロジェクトの3バースが稼働した。建設プロジェクトは第4期まで計画されており、2040年の完成時には、シンガポール港のコンテナ取扱能力は年間6500万TEUに達する見込みだ。これは2021年の取扱量3750万TEUの1.7倍超にあたる。
これに対し、上海港の2021年のコンテナ取扱量は4703万TEUだった。仮に新埠頭を建設しなければ、世界最大のコンテナ港の地位をシンガポール港に奪われかねない。しかし小洋山北作業区が完成すれば、上海港のコンテナ取扱能力は年間6000万TEUに増強される。
「小洋山北作業区の着工は、上海港がコンテナ港世界一の座を死守するための大きな支えになるだろう」。財新記者の取材に応じた上海航運交易所のアナリストは、そんな見方を示した。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は9月26日
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