中国のエネルギー海運大手の中遠海運能源運輸(コスコ・シッピング・エナジー・トランスポーテーション、漢字の略称は中遠海能)は7月7日、2022年1~6月期の業績予想を開示した。それによれば、上半期の予想純利益は1億1000万~1億8000万元(約22億~36億円)と、前年同期比67%~80%の減益になる見込みだ。
同社は国有海運最大手の中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)の傘下にあり、世界最大規模のタンカー船団を運営している。今回の減益予想の主因は、原油輸送市場の低迷により主力のタンカー事業の採算が悪化したことにある。
中遠海能の説明によれば、積載量20万トンを超える超大型石油タンカー(VLCC)の市場では輸送能力の過剰が続いている。VLCCの運賃は(ロシアのウクライナ侵攻などの)地政学上の混乱をきっかけに幾分上昇したものの、業績改善への効果は限定的だったという。
VLCCの中東-中国航路の平均TCEレート(訳注:スポット運賃による収入から航海費用を差し引き、1日当たりに換算した額)は、2022年1~6月期は1日当たりマイナス9334ドル(約126万8407円)と、赤字が前年同期(1日当たりマイナス311ドル=約4万2262円)の30倍に拡大。海運会社の損益分岐点を大幅に割り込んでいる状況だ。
中遠海能は減益、招商輪船は増益
一方、中遠海能と並ぶエネルギー海運大手の招商局能源運輸(略称は招商輪船)は7月4日、前者とは対照的な業績予想を開示した。それによれば、招商輪船の1~6月期の予想純利益は27億4000万~30億2800万元(約555億~614億円)と、前年同期の2.9~3.2倍の大幅増益を見込む。
その原動力は、タンカー以外のドライバルク(バラ積み)船やコンテナ船の好調だ。同社はドライバルク船事業の1~6月期の純利益を前年同期の1.8倍の約14億6600万元(約297億円)、コンテナ船事業の純利益を同2.8倍の12億7000万元(約257億円)と予想している。
招商輪船の説明によれば、ドライバルク船およびコンテナ船の市場は新型コロナウイルスの世界的大流行やロシアのウクライナ侵攻、ドルの金利引き上げなど複数の波乱に見舞われたものの、全体としては(旺盛な需要を背景に)好調を維持しているという。
とはいえ、原油輸送市場の低迷の影響は中遠海能と同じだ。招商輪船はタンカー事業の1~6月期の純損失が約2865万元(約5億8000万円)に上り、赤字額が前年同期比74%拡大すると見込んでいる。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は7月8日
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