上海発欧米行き「コンテナ運賃」が下落する背景 ロックダウン解除後の輸出回復はスローペース

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上海港では例年の繁忙期に入っても、貨物の輸出量がゆるやかな増加にとどまっている(写真は上海国際港務集団のウェブサイトより)

中国最大規模のコンテナ港、上海港から欧米諸国に向かうコンテナ船の運賃が下落している。

上海航運取引所のデータによれば、6月中旬時点の上海港発の基準運賃はアメリカ西海岸行きが1コンテナ当たり7489ドル(約101万円)、アメリカ東海岸行きが1万73ドル(約136万円)となっており、前者は1カ月前より5.1%、後者は同4.6%下がった。

スイスに本部を置く世界最大の海運会社、キューネ・アンド・ナーゲルが6月22日に発表したレポートは、6月下旬以降の中国発アメリカ行き輸出貨物の増加が予想を下回っていると指摘。また、中国発欧州行きのコンテナ船の積載スペースにも比較的余裕があるとしている。

「6月末から10月は例年なら輸出の繁忙期だが、今年は期待したほど貨物が増えていない。その要因は、中国国内からの輸出品の供給側と海外の需要側の双方にある」。ある貨物運送代理業者はそう解説する。

需要側にインフレと在庫のプレッシャー

上海では3月末から5月末にかけて、新型コロナウイルスの流行を封じ込めるためのロックダウン(都市封鎖)が実施され、多くの製造業が操業停止や減産を迫られた。すでにロックダウンは解除されたものの、「製造業の生産能力回復に時間がかかっている」と、前出の代理業者は話す。このことが、輸出貨物が増えない供給側の要因だ。

一方、需要側の状況はもっと複雑だ。欧米諸国では急激なインフレが個人消費に冷水をかけている。さらに新型コロナ対策の大部分が解除され、消費の中心がレジャーやサービスにシフトしていることも(中国からの輸出品の)需要に影響していると、この代理業者は見ている。

「欧米では過去2年間、新型コロナの影響で巣ごもり消費が拡大し、自宅にモノをため込む備蓄需要がとても大きかった。そのため、今では大量の備蓄品が新たな消費の重しになっている。在庫解消には長い時間がかかりそうだ」(代理業者)

本記事は「財新」の提供記事です

中国の先物取引会社の中信期貨(CITICフューチャーズ)が6月21日に発表したレポートによれば、(新型コロナの影響で一時悪化していた)アメリカのコンテナ港の混雑は全体的に解消しつつあり、東アジアとアメリカ西海岸を結ぶ航路の所要時間は30日未満に縮まった。

しかし、欧米諸国の小売業はインフレと高水準の在庫のプレッシャーにさらされているため、(中国からの)輸入回復はスローペースが続くと予想している。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は6月24日

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