中国・上海市にある「七浦路服飾商業街」は、主に中低価格の衣料品を取り扱う華東地方で最大規模の卸売市場だ。そこに店を構える卸売商の店主たちが6月13日、店舗の家主に対して家賃減免を求めて集団で声を上げたことが、広く注目を集めている。
上海では2022年3月から新型コロナウイルスの感染が急拡大し、同月末から5月末まで2カ月間のロックダウン(都市封鎖)が実施された。七浦路市場はその前後を含む3カ月にわたって封鎖されたため、店主たちは衣料品販売の繁忙期にもかかわらず営業ができず、商売が深刻な痛手を被ったと主張。家主に向かって家賃の一部を減免してほしいと訴えた。
財新記者が七浦路市場を訪れると、市場内の店舗の多くは閉まっていた。ある区画では全部で20軒余りの店舗のうち、営業していたのは3~4軒だけだった。休業している店舗には「家賃を払い戻してくれなければ店を開けられない」「誰が私たちの店を救ってくれるのか」などと書かれた貼り紙が、閉ざされた玄関の上に貼られているのが目立った。
上海の地元紙の文匯報が2018年に報じたところによれば、七浦路市場には大小6500を超える店舗が軒を連ね、繁忙期の来場者数は1日当たり10万人以上、商品出荷量は同200~300トンに達していた。
実質的に半年分の商売を失う
七浦路市場は(新型コロナの防疫対策強化で)3月8日前後から休業に入り、6月10日にようやく営業を再開した。財新記者の取材に応じた複数の卸売商によれば、例年3月から5月は(小売業者からの)春夏物衣料の注文が集中する繁忙期であり、3カ月間の休業で実質的に半年分の商売が失われたという。さらに、今となっては(休業前に仕入れた)春夏物の卸売りの時期が過ぎてしまい、在庫処分もままならない。
「今シーズンの春物衣料は、春節(中国の旧正月、今年の元日は2月1日)の休暇明けから10日間ほどしか商売できなかった。自分はいま100万~200万元(約2000万~4000万円)分の在庫を抱えている」。新七浦市場のある店主は、苦しい境遇をそう打ち明けた。
彼ら卸売商にとっては、衣料品の仕入れ費用以外では店舗の家賃が最大のコスト負担だ。店主たちは家主に対して3~6カ月分の家賃減免を希望している。
だが悩ましいのは、七浦路市場では店舗の家主のほとんどが(企業ではなく)個人であることだ。家主自身も資金繰りに余裕がないため、家賃減免に応じたがらないケースが大部分を占めているのが実態だ。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は6月13日
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