中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は5月26日、2022年1~3月期の四半期決算および2022年3月期の通期決算を発表した(訳注:アリババの会計年度は4月~翌年3月)。そのうち1~3月期の売上高は2040億5200万元(約3兆8818億円)と、前年同期比9%の増加にとどまった。この伸び率は直前の2021年10~12月期の同10%を下回り、上場後の最低記録を更新した。
一方、1~3月期の純損益は162億4100万元(約3090億円)の赤字となり、損失額が前年同期の約3倍に膨張した。その主因は投資先企業の評価額見直しに伴う減損だ。損益計算書の「利息及び投資損益」の項目に計上された損失額は367億800万元(約6983億円)に上った。
なお、ストックオプションや投資損益などを控除した非国際会計基準ベースの純損益は197億9900万元(約3767億円)の黒字を確保したが、前年同期比では24%減少した。
商品カテゴリー別の購買意欲に変化
アリババの売上高の伸び率は3四半期連続で低下しており、成長鈍化が鮮明になっている。2022年1~3月期は、そこに新たな懸念材料が加わった。同社の主力ECサイトを通じた商品販売の総額である流通取引総額(GMV)が、前年同期比で初のマイナス成長を記録したのだ。
個人や中小企業の取引が中心の「淘宝(タオバオ)」と、主に大企業向けの通販プラットフォーム「天猫(Tモール)」のGMVは、新型コロナウイルスの流行が中国各地で拡大した3月の落ち込みが響き、どちらも1~3月期全体で前年同期より減少した。ただし減少率はわずかであり、1月および2月のGMVは前年同期比横ばいだった。
アリババの張勇CEO(最高経営責任者)は決算説明会で、3月以降の新型コロナ(のオミクロン変異株)の流行をきっかけに、ECサイトの商品のカテゴリーによって消費者の購買意欲に落差が生じたと指摘した。
具体的には、ファッション性の高いアパレル製品やコンシューマー・エレクトロニクス製品の需要が縮小した一方で、食品や生活必需品を(ロックダウンなどに備えて)まとめ買いする動きが強まった。さらに、ヘルスケア製品やスポーツウェア、アウトドア用品などの新たなカテゴリーが急成長を見せたという。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は5月27日
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