中国テンセント「聖域なきリストラ」断行の背景 ゲーム部門やフィンテック部門でも人員削減

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テンセントは3月に着手した人員カットの対象範囲をすべての事業グループに広げている。写真は広東省深圳市の本社ビル(同社ウェブサイトより)

中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が、聖域なき規模縮小を断行している。財新記者の取材に応じた同社の複数の社員によれば、3月に始まった人員カットがその後も継続されており、対象範囲がすべての事業グループに拡大している。

テンセントの主力事業であるオンラインゲーム、ネット広告、SNS(社交サイト)などは、2021年から(中国の景気減速や政府の規制強化などの)強い逆風にさらされている。同社が5月18日に発表した2022年1~3月期の決算では、総売上高が1354億7100万元(約2兆5871億円)と前年同期比0.12%の増加にとどまり、実質的なゼロ成長だった。

「今般の人員調整は、新型コロナウイルスの流行のような一時的要因のためではなく、事業構造の見直しの必要から実施している」。テンセントの創業トップで董事会主席(取締役会会長に相当)を務める馬化騰(ポニー・マー)氏は、決算発表後にアナリストの質問に答えてそう述べた。

解雇者の比率が15%を超える部門も

オンラインゲーム部門を傘下に持つ「インタラクティブ・エンターテインメント・グループ」は、テンセントの総売上高の半分強を稼ぐ最大の事業グループだ。所属する社員数は1万人を超えるが、社員の総数が約10万人であることを考えれば人員効率は最も高い。

しかしテンセントが全社的なスリム化に踏み込むなか、インタラクティブ・エンターテインメント・グループも例外ではなくなった。同グループに所属するある社員は、財新記者の取材にこう打ち明けた。

「ゲームの新タイトルが(政府の未成年者保護規制の影響で)リリースできないため、一部の担当社員は取り組める仕事がなくなってしまった。人員カットは自然な流れだ」

人員削減はフィンテックやネット広告などの基幹部門でも進められている。「フィンテック部門の社員のなかには、コロナ禍による外出制限で(本社のある)深圳に戻れなくなった者もいる。日常の業務量もかなり減ってしまった」。別の社員はそう語り、やはり人員カットは不可避との見方を示した。

本記事は「財新」の提供記事です

テンセントが3月に人員カットに着手した時、最初の対象になったのは過去数年で社員数が急増した「クラウド・アンド・スマート・インダストリー・グループ」と「プラットフォーム・アンド・コンテンツ・グループ」だった。両グループでは今も人員削減が続いている。

「解雇者の比率は15%が上限と見込まれていたが、実際にはそれを上回りそうだ」。内情に詳しい複数の社員は、現状をそう明かした。

(財新記者:関聡、屈運栩)
※原文の配信は5月23日

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