中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が、成長の壁に突き当たっている。同社が5月18日に発表した2022年1~3月期の決算報告によれば、同四半期の売上高は1354億7100万元(約2兆5841億円)、前年同期比の増加率は0.12%と実質的にゼロ成長だった。
1~3月期の純利益は234億1300万元(約4466億円)と、前年同期比51%減少した。大幅減益の主因は投資収益を含む「その他収益」の落ち込みだ。決算報告書によれば、テンセントは東南アジアのネットサービス大手「Sea(シー)」の株式を約2%売却して184億8100万元(約3525億円)の益出しを実施したものの、その他の投資先企業の評価額見直しに伴う減損分を埋め切れなかった。
なお、投資損益などを控除した非IFRS(非国際会計基準)ベースの調整後純利益は255億4500万元(約4873億円)と、前年同期比23%減少した。調整後純利益が前年同期を下回るのは3四半期連続であり、本業の稼ぐ力も低下していることを示唆する。
株価は過去1年間の最安値圏に
事業セグメント別の業績を見ると、オンラインゲームを含む「付加価値サービス」の売上高が727億3800万元(約1兆3875億円)と、総売上高の半分強を占めた。しかし前年同期比の増加率は0.41%にすぎず、中国政府の未成年者保護の規制強化を受けた国内ゲーム事業の売上高は前年同期比1%のマイナスだった。
さらに厳しいのがネット広告だ。1~3月期の広告事業の売上高は179億8800万元(約3431億円)にとどまり、前年同期比17.56%の大幅減を記録した。テンセントの説明によれば、(中国政府の規制強化の対象になっている)教育、ネットサービス、EC(電子商取引)などの業界の広告需要が縮小していることに加えて、多数の広告主が集積する上海などの大都市で新型コロナウイルスが再流行していることが、広告の出稿意欲に冷水をかけているという。
株式市場はテンセントの業績停滞を織り込み済みであり、香港証券取引所に上場する同社株の5月18日の終値は、前日比0.76%安の365香港ドル(約5988円)と小幅な下落で引けた。株価は3月15日につけた直近の最安値の297香港ドル(約4872円)からは幾分回復したものの、なお過去1年間の最安値圏で推移している。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は5月19日
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