中国のLNG(液化天然ガス)の輸入拡大にブレーキがかかっている。中国海関総署(税関)が5月18日に発表したデータによれば、中国の4月の天然ガス輸入量は809万トンと前年同月比19.6%減少。そのうちLNGは435万トンと、同34.5%も減少した。
背景には天然ガスの国際相場の高騰に加えて、中国国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大している影響がある。(厳格な防疫措置がもたらす経済活動の停滞で)国内需要の後退が見込まれるなか、輸入業者がスポット契約によるLNG調達を見合わせているのだ。
海関総署のデータによれば、4月のLNGの平均輸入価格は前年同月比87%高の1トン当たり4423元(約8万4704円)だった。エネルギー関連の情報サービス会社、金聯創網絡科技のアナリストの王瑞琦氏は、4~6月期の中国の天然ガス需要について「暖房向けの需要期の終了も重なり、さらなる減少が続く」と予想する。
工業向け天然ガス消費量が半減
近年、中国のLNG輸入量は増加し続け、2021年には初めて日本を抜いて世界最大になった。しかし2022年は、これまでの勢いが失速する可能性が高そうだ。エネルギー関連のコンサルティング会社、世創能源諮詢の首席研究員を務める楊建紅氏は、「中国の天然ガス消費の増加率は2021年の12.7%から2022年は6%に減速するかもしれない」と懸念を示す。
天然ガスの主な需要家のなかでも、工業、発電、交通の各セクターは価格変動に敏感だ。コモディティーの価格情報サービスを手がける卓創資詢が5月16日に発表したデータによれば、中国国内の4月の工業向け天然ガス消費量は前年同月比53%も減少した。
工業セクターのなかには製陶業界やガラス業界のように、製品の品質を維持するために天然ガスを使い続ける分野もある。
しかしそれらを除けば、金属、新素材、製紙、農業、食品などの各業界が軒並み天然ガスの消費量を減らしている。少なからぬ数の企業が、コストアップに耐えられず生産停止に追い込まれたり、天然ガス以外の燃料への切り替えを迫られたりしているのが実態だ。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は5月19日
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