中国・上海市では、新型コロナウイルスの流行を封じ込めるためのロックダウン(都市封鎖)が3月末から続き、主要な経済指標が軒並み大幅に悪化している。上海市統計局が5月20日に発表したデータによれば、4月の上海市の工業生産額は1364億1700万元(約2兆6021億円)と前年同月比61.6%減少。また、同月の消費品小売総額は716億9700万元(約1兆3676億円)と同48.3%減少した。
同じく5月20日に中国人民銀行(中央銀行)が公表したデータによれば、4月末時点での上海市の人民元建て融資残高は3月末に比べて565億元(約1兆777億円)減少した。分野別では、(住宅ローンなど)住宅セクター向け融資が279億元(約5322億円)、国内企業向け融資が346億元(約6600億円)減少したのが目立った。
「ロックダウンの実施により、人の移動が厳しく制限され、多数の企業が営業や生産の停止に追い込まれた。その影響で、自分の担当分野の融資業務は4月、ほとんどゼロ成長かマイナス成長だった」
上海の銀行で企業向け融資や個人向けローンを担当する複数の行員は、財新記者の取材に対して異口同音にそう語った。
融資残高が中国全土で顕著に減少
ある中堅銀行の本店で企業向け融資に携わる幹部は、業務の現状を次のように打ち明けた。
「3月末にロックダウンが始まると、上海地区での業務は短期融資の返済期限の満了に伴う借り換え手続きや、定期的な支払いが必要な取引の決済などに限られてしまった。顧客企業の大部分は、よほど緊急の資金需要がない限り、中断できるプロジェクトはすべて中断している状況だ」
また、別の大手銀行の上海支店で個人向けローンを担当するマネージャーは、ロックダウン中の融資業務の実態についてこう証言した。
「企業向けの融資で緊急対応が必要な案件に関しては、隔離体制を取ったオフィスに少数の行員が泊まり込みで勤務し、融資の延長手続きなどに対応している。だが個人向けローンに関しては、3月末から現在まで(新規融資の営業ができないため)融資残高が減る一方だ」
上海だけではない。人民銀行のデータによれば、4月の融資残高は中国全土で顕著な減少を見せている。同月の新規貸付額は6454億元(約12兆3108億円)にとどまり、市場関係者の予想を大きく下回った。
この金額は、湖北省武漢市での(最初の)新型コロナ流行がピークに達した2020年2月の新規貸付額(9057億元=約17兆2760億円)さえも下回っており、コロナ再流行の影響の深刻さが反映されている。
(訳注:上海市当局は5月30日、2カ月間続いた厳しい外出制限を6月1日に解除すると発表した)
(財新記者:朱亮韜)
※原文の配信は5月20日
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