中国の国有自動車最大手、上海汽車集団の生産・販売台数が激減している。本拠地の上海市で新型コロナウイルスの感染が拡大し、3月下旬からロックダウン(都市封鎖)が続いているためだ。
同社が5月6日に公表した2022年4月の生産・販売実績によれば、広西チワン族自治区にある上汽通用五菱汽車および海外工場を除いた生産台数は前年同月比71%減の7万5629台、販売台数は同69%減の8万1056台に落ち込んだ。
上海市のロックダウンはすでに1カ月以上続いている。上海汽車集団ではドイツのフォルクスワーゲン(VW)との合弁会社の上汽大衆汽車、アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)との合弁会社の上汽通用汽車、独自ブランドの上汽集団乗用車、同じく上汽大通汽車などが上海市内に生産拠点を構えており、事業活動が深刻な影響を受けている。
中国では3月以降、新型コロナ(のオミクロン変異株)の感染拡大が各地で相次ぎ、国有自動車大手の中国第一汽車集団の本拠地である吉林省長春市でも3月中旬から4月下旬まで約1カ月半にわたってロックダウンが実施された。上海と長春は中国有数の自動車産業の集積地であり、完成車メーカーだけでなく部品メーカーも相次いで操業停止に追い込まれた。その影響はいまや中国全土に波及している。
生産計画や在庫管理が困難に
中国本土の株式市場に上場している自動車部品メーカーの約半数は、上海市、江蘇省、浙江省などの長江デルタ地区に本拠を置く。「完成車メーカーにとって、どの車種をどれだけ生産できるかは日々の部品の入荷次第であり、『運任せ』の経営を迫られている」。自動車産業関連の物流業務を手がける企業のある幹部は、生産現場の実態をそう明かす。
この幹部によれば、完成車メーカーがいま調達できる部品は、種類やサプライヤーによって数量に大きなばらつきがある。部品が1種類でも足りなければクルマは生産できず、ほかの部品は余ってしまう。そのため精緻な生産計画や在庫管理が困難になり、上海以外の地域の完成車メーカーでも通常の生産ペースを維持できなくなっているという。
自動車販売への影響も大きい。中国汽車流通協会が4月30日に発表した調査データによれば、調査対象の94都市のうち3分の1以上の34都市で、新型コロナの影響により営業を一時停止している販売店があった。ある自動車メーカーの関係者は、「わが社の専売店は半分が閉店している」と打ち明けた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月7日
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